ヨシムラ
空冷Z系の定番な性能アップ方法といえば、マフラー交換とボアアップだ。ここ数年は、補修の意味合いもあるわけだけれど、それらはエンジン周辺にどのように影響するのだろうか?
メンテナンス性まで考慮したマフラー交換がいい
その昔は三種の神器に挙げられるほど、換装することにプレミアム感のあったマフラー交換。空冷Z系では、集合マフラーへの変更が定番だ。その一方で、オリジナルのスタイリングにこだわるノーマル派も多い。性能・品質・スタイリングと、全方位に高バランスを見せるノーマルマフラーだが、現代では装着したくても純正の新品が入手しづらいという事情もあり、中古品のマーケットでは高値で取引されているようだ。そんなマフラー事情は、整備面においてどのような影響を与えているのか? 今回もウエマツの栗原弘行工場長に話を伺った。
「まずノーマルマフラーについて。当然のことながら、オイル交換やフィルター交換がしやすく、サイドスタンドストッパーだけでなくセンタースタンドストッパーも付いているため、オリジナルのスタイリングにこだわる人に向いていると思います。社外の集合マフラーは、集合部の上にドレンボルトがあるというパイプレイアウトのものが多い。そのままではオイル交換がしづらく、マフラーを外した方が早い!ということになります。オイル交換を終えて再度マフラーを装着する際に、新品のエキゾーストガスケットが必要になるので、事前に準備しておきます。リプレイス品なら数百円で用意できますね」
関連して、オイル交換やオイルフィルターの交換時には、ドレンボルト用のOリングやオイルフィルターカバー用のOリングも必要となる。それらの部品コストや工賃なども考えれば、ノーマルマフラーの方が経済的だ。
それまでノーマルマフラーで乗っていた人が、集合マフラーに換装する際、次のような事柄に注意した方がいい。
「まずノーマルマフラー時より、最低地上高が少なくなります。サイドスタンドストッパーが無くなるため、Z1000以前のフレームでは、サイドスタンドが当たる部分を養生する必要性がでてきます。キャブレターセッティングについては、Z1の場合はエアスクリューの調整、Z1000などの場合はメインジェット)やジェットニードルで調整します。着脱の際に、フレームのアンダーループに傷をつけてしまうことが考えられますので、アンダーループを養生してから2名で作業するのが最良だと思います」
同時にボアアップやハイカムへの交換なども伺ったが、ウエマツでは補修のためのボアアップやスリーブの打ち替えがほとんどで、チューンナップ事案は稀だという。
「当社としては『もち』のよさ、つまり耐久性を重視しますので、マフラー交換にもいえますが、整備性をスポイルするような事柄は、極力避けていきたいですね」
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KAZU 中西
1967年4月2日生まれ。モータージャーナリスト。二輪雑誌での執筆やインプレッション、イベントでのMC、ラジオのDJなど多彩な分野で活躍。アフターパーツメーカーの開発にも携わる。その一方、二輪安全運転推進委員会指導員として、安全運転の啓蒙活動を実施。静岡県の伊豆スカイラインにおける二輪事故に起因する重大事故を撲滅するための活動“伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦"の隊長を務める。過去から現在まで非常に多くの車両を所有し、カワサキ車ではGPZ900R、ZZR1100、ゼファーをはじめ、数十台を乗り継ぎ、現在はZ750D1に乗る。
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