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ヨシムラ

トラクションコントロールシステムを新装備。ABSも大幅進化

新型ではカワサキ車としては初のKTRC(カワサキ・トラクション・コントロール)を装備したことで絶大なる安心感を得た。このKTRCはスロットルを大きく開けてしまったときなどに発生する後輪の空転を感知して、エンジン出力を自動的に制御することでグリップ力を回復させるメカニズムだ。強烈なトルクを持つ1400GTRゆえに、ラフなスロットル操作をしたり、雨天時のマンホールのフタや路面のペイントなどでのスリップ防止に効果的だ。

安心感の増大といえばABSシステムも大幅に進化した。従来型は前後輪別々のABS作動だったが、K-ACT(カワサキ・アドバンスド・コアクティブブレーキング・テクノロジー) ABSでは理想的な制動力配分を行なう前後輪連動式ブレーキシステムとなった。スタンダードモードではスポーツ走行に適した作動。ハイコンバインドモードでは、ブレーキペダルを踏み込む度合いに細かく連動する設定でツーリングやタンデム、高速走行などで効果的。なお、Uターン時の扱いやすさを考え、時速20㎞/h以下では前後連動機能は解除され、ABS機能は時速6㎞以下でカットされるなど、高機能を満載した作りとなっている。

実際にスロットルを急激に開けても後輪は滑り出すことはなく、いきなり前後同時に強烈なブレーキをかかけても何ごともなかったかのようにスイッと停止してしまう。ABS作動時のキックバックもたくみに抑えられている。だからこそ、このハイメカに頼りすぎず、今まで以上にち密な走りを目指し、1400GTRの安全快適性を引き出して楽しむべきだ。

なぜなら、その気になるとZZR1400のような超絶の速さと減速力を持っている1400GTRに、周囲が気付いてくれないためだ。

1400GTRの進化は走りだけではない。防風性能を高めるためのスクリーン形状とアンダーカウルサイドの形状が変更されている。バックミラーの取り付け位置も今までより40㎜高いところにセットされて視線移動が減って見やすくなっただけではなく、手に当たる風量も軽減している。これにより、標準装備となったグリップヒーターの効果がよりアップするわけだ。

また、高温多湿の日本では渋滞時にライダーの足もとに直撃するエンジン熱が重大な問題になる。新型ではサイドカウルのスリット形状を大幅に変更し、さらにエキゾースト部に遮熱板をセットして熱問題を改善している。マフラーエンド部を40㎜短縮させたことも加わって、外観的にも重厚一点張りの1400GTRがスポーティさをアップさせたといえる。

装備や安全性の充実はもとより、ディテールに至るスタイルのリファインなども大切だが、いかなるジャンルのバイクであっても、とりわけ重要なことは“乗って楽しい”と感じる作り込みだ。

新型1400GTRはあらゆる場所で乗りやすさが実感でき、ワインディングでは操る楽しさが、そしてロングランになるほど真価が実感できる魅惑のビッグツアラーだ。

2010年モデル 1400GTR(ZG1400C) 左横
2010年モデル 1400GTR(ZG1400C) 右横

基本フォルムは大きく変わらず流れいにしてダイナミック。ウインドスクリーンの大型化とサイドカウルのスリットおよびミラー取り付け位置変更とマフラーエンド部の短縮化が外観上の変更点になっている。各部の高い質感もそのまま
2010年モデル 1400GTR(ZG1400C) 前
2010年モデル 1400GTR(ZG1400C) 後

ZZR1400の個性的な顔つきに対して1400GTRは大柄な車体とのバランスを考慮した大型2灯式。スクリーンサイズのアップとミラー位置の変更でツアラーとしてのバランスが大幅にアップした。リヤビューだけでは最新型の違いはわかりにくい
問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
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柏 秀樹

自身が主催するライディングスクール、KRSを主な活動としつつ、雑誌やDVDなどのメディアで、ライディングテクニック講座や車両インプレッションを行なっている。KRSはオンロードからオフロードまで、週2〜3回のペースで開催されている。
https://kashiwars.com




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