ヨシムラ
1,400㏄という排気量を忘れる
エンジンは、2軸バランサーを装備しながらも、その回り方は無機質ではなく、シルキーで実に気持ちがよい。だから、市街地でのゴー&ストップでも、高速道路での巡航でも、ワインディングやサーキットでの高回転維持でも楽しく疲れにくい。
乗車1Gでのサスペンションの沈み込みも多めなので足着き性も悪くない。渋滞路でも1,400㏄という排気量を忘れてしまいそうだ。
ハンドル位置はやや遠目だが、極端な前傾姿勢にはならないので腕や肩、腰などが痛くなりにくい。スーパースポーツ的な走りが可能でありながら、ポジションはネイキッドとスーパースポーツのちょうど中間に相当。ワイドな実用性を求めていることが、ここからうかがい知ることができる。
高速道路でのZZR1400は軽く風が当たる。これは、極限の速度で完全に伏せたときを想定したカウルであり、一般的な速度では、ほどよい風量といえるレベルだ。
カワサキのフラッグシップとして生まれてきたZZR1400は世界最速というポテンシャルを誇りながら、一方でカワサキビッグバイクのなかでもっともジェントルな味を持っている。二律背反しそうなこの命題をカワサキは見事に同時達成しているのだ。
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柏 秀樹
自身が主催するライディングスクール、KRSを主な活動としつつ、雑誌やDVDなどのメディアで、ライディングテクニック講座や車両インプレッションを行なっている。KRSはオンロードからオフロードまで、週2〜3回のペースで開催されている。
https://kashiwars.com