ヨシムラ
ルーツをたどればロングセラーとなるKSR110。約20年間でつちかったミニモタードのノウハウが存分に投入される。原付二種でもオートマチック限定免許でも、KSR110なら心ゆくまでモタードの世界が楽しめる。
ライダー本位で自在に操るミニモト
KSR110といえば、スーパーバイカーズミニレースではお馴染みのマシンだ。ノーマルに近い車両でも参戦できるクラスが用意されているので、気軽に参加しやすい。
そして、このKSRシリーズの歴史をたどれば、実に息の長いモデルなのだ。KSR110のルーツとなるのはKS-ⅠとKS-Ⅱで、それぞれ2ストロークエンジンを積んだ50㏄クラス、80㏄クラスのスーパーバイカーズミニとして生まれた。そしてデビューした年は双方1987年。なんと、今から約30年以上前のことである。2ストロークと4ストローク、そして排気量こそ違うものの、カワサキのなかでもトップクラスのロングセラーモデルといえる。
その間に、排気量などを変え、2002年にKSR110はデビューした。走行性能に関わる装備は、この手のモデルにしてはかなり本格的。倒立フロントフォークやスタビライザー付きスイングアームなど、ミニバイクとしてはかなり走りを意識した足まわりとなっている。
ポジションは足着き性の心配をすることもない。極端なアップハンドルを採用しているため、ミニバイクながらきゅう屈感もそれほどない。また、シートは前後長こそ短いが、スタイルから想像するよりも、意外とオシリを移動しやすい。また、市街地での取りまわしは、特筆するまでもなくすばらしく、ミニバイクのメリットを最大限に活かせる。
スタート方式はキックのみ。…と聞いて、「じゃあ、私にはエンジンがかけずらいかも」と思うなかれ。KSR110に関していえば、たとえキックでもエンジンの始動性はとてもいい。
ミッションにはクラッチレバー操作なしの自動遠心クラッチが採用されている。スロットルワークとチェンジペダルのみでギヤチェンジを行なうわけだ。ギヤポジションは一番下がニュートラルで、上に向かって1から4速まで配置されている。クラッチ操作をともなうギヤチェンジになれたライダーからしてみれば、自動遠心クラッチと聞いただけで、違和感を抱く人がいるかもしれない。でも、イメージだけで判断しないでほしい。KSR110のギヤチェンジはスムーズ。とくにシフトアップは、高回転域でギヤチェンジしていけば、1速から4速まで実につながりよく加速していく。一方、シフトダウンは十分減速してからギヤチェンジを行なうと不快に感じることはない。