ヨシムラ
アクセルを大きく開けてコーナリングを堪能
エンジンは低回転からトルク感があり、スロットルワークに対するエンジン回転のレスポンスもいい。だから信号待ちから発進するときもストレスは感じない。ただし、110㏄ということもあり、さすがに峠などの急な上りでは、パワー不足を感じざるを得ない。この場合、アクセルを大きく開けて、高回転域を利用すれば、スピードにのって走らせることが可能だ。
コーナリングも、よほどタイトでなければ、進入前からスピードを乗せて旋回する。ハイスピード域でもクイックに旋回できるので、極端にコーナー手前で減速しなくてもスムーズにラインをトレースできる。連続するタイトなコーナーでは、軽量小柄なミニバイクの威力をいかんなく発揮する。左右にヒラヒラと旋回し、この場合も、極端なスロットルワークは不要。高回転域を利用しながら旋回していくイメージだ。
このようにKSR110は、コーナリングでは、進入で減速、スロットルを一定にして、立ち上がりで加速というより、進入・旋回・立ち上がりの一連の流れをスピードに乗ってクリアできる特性を持っている。そしてもう一つ、バンク角も割と深い。それもそのはず、通常ならステップのバンクセンサーが取り付けられている位置が、鋭角的にカットされているのだ。そのため、カットされたステップの恩恵を授かるまでバンクさせることができるのだ。
さすがにそこまでバンクさせると、タイヤのグリップ感に不安感を覚えるが、いいかえれば、KSR110は高速域でもそこまで倒しこめて遊べるということ。街中での“アシ”に使ってもよし、ジムカーナ的な乗り方をしてもよし。モタードは、もともと使用用途の広いバイクだが、KSR110はミニでありながらもそれを十分に達成しているのだ。