ヨシムラ
2台の異なる個性がWの世界を奥深いものに
市街地や高速道路で感じたクラシカルな操縦フィーリングは、ワインディングでも感じられた。細身の18インチタイヤを装着しているW800は、17インチのワイドタイヤ装着車とは挙動が異なる。前者は車体を寝かし込むときの動き始めが軽く、深くバンクさせずともスーッと自然に曲がっていく。そもそもW800は深くバンクする作りではないが、だからといってコーナーリングが不得意なわけじゃない。素直なハンドリングなので、少し走ればすぐにねらったラインをトレースできる。
おもしろいのはSTREETとCAFEの差。車体構成はほぼ同じなので違いはライディングポジションに集約される。アップハンドルのSTREETはドカッと腰をすえたような姿勢になり、シートからリヤタイヤのグリップを感じながらリヤを意識して曲がる感じ。対してハンドルが低いCAFEは着座位置が少し高いこともありフロントに荷重をかけやすい。そのため前輪のグリップ感が得やすいのでフロント重視で曲がっていく特性なのだ。ハンドルの違いがこれだけ大きな差になるのは非常に興味深い。
ハイパワーなわけでもないし、切り込んでいくような鋭いコーナーリング特性を持っているわけでもない。あえて言うならば、すべてのシチュエーションで気負わず・平常心のまま車体をコントロールできるのがW800の特性だ。ツーリングに出る前は「物足りなさを感じるのかな」と思っていたが、実際はすべてのシチュエーションでエンジンやハンドリングの持ち味が感じられ、飽きることがなかった。
ワインディング
タンデム走行
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横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。