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ヨシムラ

歴史ある街道を駆けるほどに馴染む鉄馬

この旅の最中、W800に乗っていることが最高に幸せだと感じる瞬間に出会った。それは2日目に緑の山のなかを伸びるワインディングを走っているときのこと。たまたま前後にクルマがなく、エンジンの鼓動感が感じられるスピードでカーブのアールをなめるように走っているとき、自分とW800と道と自然がひとつの線でつながったような感覚になり、最高に心地よく幸せな気分になれたのだ。エンジンの振動とマフラーからのサウンド、そして手足のように動いてくれる車体。どれもが自然で過不足なく満たされた感覚だった。「W800は乗れば乗るほど染みてくる」。これは短時間の試乗では得られなかった印象。さらに長い期間乗り込んでいけば履きなれたジーンズのようにフィットしていき、もっと違う感覚が得られるのではないかとも想像できた。

まとめ

はっきり言えばW800はアクセルを開けすぎると楽しいバイクではない。しかし、常用域のスピードで、全身で風を受けながらマシンを走らせることが楽しめる数少ないバイクの一つだ。そういった意味では貴重な存在といえよう。より人に近く、人生をともに歩む相棒になる可能性を秘めていること。それがW800が何度も求められる理由のひとつではないだろうか。そんなことを体感した旅だった。

ハンドル切れ角
W800 CAFE ハンドル切れ角

ハンドル切れ角は片側37度とかなり大きく切れる部類。ハンドル形状が異なるSTREETとCAFEともに同じ数値で、取りまわしやUターンもしやすい。ハンドル形状が独特のカフェだが、タンクとのクリアランスは十分に確保されている

ライディングポジション
W800 STREET ハンドル切れ角
W800 STREET ライディングポジション(タンデム)
STREETに採用されているアップハンドルは先代よりも高く、広くなっている。そのため背筋が伸びるような姿勢になる。市街地ではゆとりを持った気分で走れるが、高速道路ではかなり風当たりが強い。シートは幅広&肉厚で座り心地がよく長距離でも疲れにくい(身長:166cm 体重:70kg)

W800 CAFE ライディングポジション
W800 CAFE ライディングポジション(タンデム)
M字のハンドルと中央付近が少し高くなっているシートを装備するCAFEは、ストリートより前傾ポジションだが、適度な前傾度なのでツーリングも楽にこなすことができる。ただ、個人的にはステップの位置がアップハンドルのストリートと同じなのが気になる。もう少し後ろにしたいところ(身長:166cm 体重:70kg)

サイドスタンド
W800 STREET/CAFE サイドスタンド

サイドスタンドには出し入れの際に使う突起がついているが、これが少し小さめ。マフラーガードに近いこともあり、毎回つま先で突起を探してしまうハメに。形状を工夫してもらいたいと感じた。センタースタンドは標準装備されていない

シート快適性
W800 STREET シート

STREET

W800 CAFE シート

CAFE

シートはスタイルのみならず感触もかなり異なる。STREETのタックロールシートは足着きを考慮した形状ながら快適性も持ちあわせている。シングルシート風のCAFEは中央付近が盛り上がった形状で体重移動しやすい。どちらもキャラクターに合った設定だ

燃費
W800 STREET 燃費

今回、燃料警告灯がついてから完全にガス欠するまで約103km走った。ランプ点灯・即ガス欠というわけではないが、燃料計が無いため不安がつきまとうのは事実だろう。高速道路では回転を抑えられたので良好な結果が得られた

高速道路 33.23km/ℓ
一般道路 22.21km/ℓ
ガソリン満タン航続距離 333.2km
たそがれ
W800 STREET/CAFE

基本コンポーネントが共通ながら、大きく個性が異なるSTREETとCAFE。それぞれに趣があり、どちらもユーザーに受け入れられることだろう。個人的に好みなのはCAFEだ。見ているとリヤシートに布のサイドバッグをくくりつけ、ふらりと旅に出たくなる

W800 STREET/CAFE スペック一覧

車名(通称名) W800 STREET W800 CAFE
マーケットコード EJ800BKF EJ800CKF
型式 2BL-EJ800B
全長x全幅x全高 2,135mm×925mm
×1,120mm
2,135mm×825mm
×1,135mm
軸間距離 1,465mm
最低地上高 130mm
シート高 770mm 790mm
キャスター/トレール 26.0°/ 94mm
エンジン種類/弁方式 空冷4ストローク並列2気筒/SOHC4バルブ
総排気量 773cm³
内径x行程/圧縮比 77.0mm×83.0mm/ 8.4:1
最高出力 38kW(52PS)/6,500rpm
最大トルク 62N・m(6.3kgf・m)/4,800rpm
始動方式 セルフスターター
点火方式 バッテリ&コイル(トランジスタ点火)
潤滑方式 ウェットサンプ
エンジンオイル容量 3.2L
燃料供給方式 フューエルインジェクション
トランスミッション形式 常噛5段リターン
クラッチ形式 湿式多板
ギヤ・レシオ 1速 2.352 (40/17)
2速 1.590 (35/22)
3速 1.240 (31/25)
4速 1.000 (28/28)
5速 0.851 (23/27)
一次減速比 / 二次減速比 2.095 (88/42)/2.466(37/15)
フレーム形式 ダブルクレードル
懸架方式 テレスコピック(インナーチューブ径41mm)
スイングアーム
ホイールトラベル 130mm
107mm
タイヤサイズ 100/90-18M/C (56H)
130/80-18M/C (66H)
ホイールサイズ 18M/C×MT2.50
18M/C×MT3.00
ブレーキ形式 シングルディスク 320mm (外径)
シングルディスク 270mm (外径)
ステアリングアングル
(左/右)
37°/ 37°
車両重量 221kg 223kg
燃料タンク容量 15L
乗車定員 2名
燃料消費率(km/L) 30.0km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時)
21.1km/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時)
最小回転半径 2.7m
カラー メタリックフラットスパークブラック×メタリックマットグラファイトグレー(BK1) メタリックマグネシウムグレー×ギャラクシーシルバー(GY1)
メーカー希望小売価格 99万3,600円(税込) 111万2,400円(税込)
発売日 2019年3月1日
問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/
横田 和彦

1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。




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