ヨシムラ
並列2気筒エンジンをスチール製ダブルクレードルフレームに搭載したW800がSTREETとCAFEという2種類のスタイルで再デビューした。オーソドックスなスタイルのマシンのどこに魅力があるのか、公道1,000kmの道のりを走りながら探ってみた。
根幹に流れる日本の伝統と美
W800がSTREETとCAFEの2種になって我々の前に帰ってきた。丸型ヘッドライトにアップハンドル、丸みを帯びたタンク、ダブルシートという古典的なスタイルを持つW800の歴史をさかのぼると、1999年デビューのW650にたどり着く。当時もスペック的には目を見はるような点はなかったが、エンジンには驚かされた。スポーツモデル全盛期にベベルギヤ駆動の空冷エンジンを完全新設計したのだから。直立したシリンダーや空冷フィン、やわらかな曲線を描くクランクケースカバーなど、随所から開発者のこだわりを感じた。それだけにパフォーマンスよりも“造形美を追求した落ち着いた走りのバイク”というイメージが強かった。
市場では確実に販売台数を伸ばし、2006年に普通二輪免許で乗れるW400が追加されると若者や女性の支持を集め、街でもよく見かけるようになった。一度はラインナップから消えたものの、2011年にはインジェクション化により復活。同時に排気量アップしW800となる。それも2016年のファイナルエディションで生産終了かと思われたが、今回再び登場したのだ。
何度も復活するということはユーザーを魅了する素質を持っているともいえる。1000km走ることでその魅力が何か見えてくるかもしれない。自分にとっても興味深い旅が始まった。
なんといってもここがポイント「キャラクター分け」
乗り降り
ミラー後方視認性
取りまわし
クラッチ操作性
引き起こし
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横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。