ヨシムラ
スーパーチャージャーを装備したスポーツツアラーでガッツリと1,000kmを走る。そこで得られた感覚は、カワサキの大型ツアラーにはそれぞれに明確な個性があることだった。
クラストップの高性能と日常の扱いやすさを追求
過給機を搭載したニンジャH2が登場した時は、かなりのインパクトで乗り味も刺激的だった。同じ過給機エンジンのツアラーモデルが出ると聞いた時は、はたしてツアラーとしてのキャラクターが成立するのか疑問だったが、デビューしたNinja H2 SXに乗ってビックリ。実に扱いやすく調教されていたことに感心したものだ。
ところが今回、編集部を出発するときの天候は雨で路面はフルウェット。Ninja H2 SX SEをこういうシチュエーションで乗るのは初だ。いくら調教されているとはいえ200psを発生する過給機エンジンのことを考えると自然と肩に力も入る。緊張しつつクラッチをミートすると…、予想に反し実にスムーズに走り始めた。まるでミドルクラスのバイクのように。扱いやすいエンジン特性のみならず、リラックスできるライディングポジションの影響もあるだろう。抱いていた不安はすぐに払拭された。過給機エンジンは回転が上がるにつれ、二次曲線的にパワーが盛り上がっていく。その反面、低回転域ではリッターバイクとしてはトルク感がやや薄め。そんな特性もあって大トルクではリヤタイヤがすべりやすいウェット路面でも危なげなく走れるのだろう。僕は混み合う雨の都心の大通りを何事もなかったように走り抜け、高速道路のランプを駆け上がった。
なんといってもここがポイント
ヘッドライト照射性
メーター視認性
メーター操作性
グリップヒーター
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横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。