ヨシムラ
カフェレーサースタイルは伊達じゃない!
Z900RSカフェで走りはじめて最初に感じたのはハンドルの低さだ。スタンダードモデルに比べて低いのはわかっていたのだが、実際は見た目以上に低く感じる。その理由はシートにあった。シングルシート風のシルエットを持つカフェのシートは、スタンダードよりも20mmほど着座位置が高くなっている。その影響もあってハンドルが見た目以上に低くなっているように感じたのである。
といってもネイキッドとしては一般的なライディングポジション。市街地ではまったく不自由を感じない。目線が高めなので交通の流れも読みやすく、肩の力を抜いて走ることができる。ツーリング中、周囲の情報が入手しやすいということは安全な走行につながる。Z900RSカフェはその要素を十分に満たしていると言えよう。僕は快適な気分で、順調に走行距離を伸ばしていった。
ワインディングに入ったとき、ライディングポジションが変わったことによる操縦性の違いがさらに顕著になる。高くなったシートは前方に行くにつれて左右が削られている。断面が台形のように感じられるのだが、それが体重移動のしやすさにつながっているのだ。スタンダードのシートでは、一度わずかに腰を浮かせるようにして抜重し体を横に動かすという流れなのだが、Z900RSカフェの場合はシートのRを利用してすばやく体を動かすことができる。タイムラグがほとんどないので、コーナーにアプローチしたときもねらった場所でスッと寝かし始めることができるのである。この違いには驚いた。Z900RSカフェは単にビキニカウルや低いハンドルをつけた見た目だけの“なんちゃってカフェレーサー”ではなかった。ちゃんと運動性能もスポーティになるように設定してあったのだ。
ライディングポジション
ミラー後方視認性
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横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。