ヨシムラ
この企画は、本誌編集部員がカワサキの現行モデルの中から1車種を取り上げ、公道を1,000km走ってインプレッションするというものである。今回の車両は、2016年モデルのNinja ZX-10Rだ。10Rはサーキットでのパフォーマンスを最優先して開発されたそうだが、ストリートではいったいどのような走りを見せてくれるのだろうか。
[市街地編]高次元の作り込みは街中でも光る
サーキットでのパフォーマンスを第一に追求したNinja ZX-10Rだが、ストップ&ゴーを繰り返す市街地での走りはどうなのか。これはこれで、気になるところではあるだろう。今回は通行人や交通量が多い駅前の繁華街も走ったのだが、率直に言うと、やはり市街地走行をするうえでこの乗車姿勢はツラいものがある。街中ならではのストップ&ゴーを繰り返す走りをするには、多少なりとも身体的なストレスに耐える必要があるだろう。しかし、低回転域からトルクフルなエンジン、細かい入力にも的確に反応してくれるハンドリングのおかげで、走りがギクシャクすることはほとんどなかった。停止状態から発進する際、エンストすることも、しそうになることも一度もなかったし、徐行速度で右左折する際も、フラつかずスムーズに通過することができた。つまり、市街地では姿勢がやや辛く感じるだけで、走りづらさはほとんどないということである。
また、市街地ではひんぱんなシフト操作を強いられ、クラッチを握る左手が疲れがちだが、Ninja ZX-10Rではクイックシフターのおかげで、左手が疲れなかった。クイックシフターはサーキット向けの機構だが、市街地でもその効果を発揮してくれたのだ。