ヨシムラ
新しきデザインの到来。曲線を織り込んだフォルムに斬新な手法で装着されたユニット類。見た目からして遊び心をくすぐる。だが、楽しめるのはスタイルだけではない。あらゆるライダーを受け入れる走行性能もその一つだ。
独特なスタイルから走行性に興味を抱く
ここ数年のカワサキは、次から次へと新しいスタイルを持ったモデルをラインナップしてくる。それはZ1000やZ750など、ひと昔前のカワサキにはないようなデザインを取り入れた車両。そこには新しい風を感じざるを得ない。そしてまた斬新なスタイルを持った車両が姿を現した。それがER-6n。
おもしろそうなバイクだな…。これが第一印象だった。それは曲線を基調としたフォルムだけでなく、走りに関してもそう。独特なカタチなので、このスタイルから一体どんな走りをするのだろうと、思わず興味を抱いてしまった。正直、僕は鋭角的なとがったスタイルのバイクが好きだが、このバイクに関しては自分のこだわりとはまた別の次元で、ユニークなスタイルだなと純粋な気持ちで迎え入れることができた。
自然にそう思ってしまうのも、このフォルムのせいなのか、ついつい「あっ、ちょっと気軽に乗ってみたいな」などと、どこか親近感を抱いてしまう。そしてこの思いはまたがってみても変わることはなかった。ポジションに違和感がほとんどない。人間の感性に近いとでもいうのか、車体のクセが感じられなかった。ふと、コイツはワインディングとかでも僕のいうことよくきいてくれそうだ、と思ってしまった。
そして、その予感はあながちハズレではなかった。コーナーで寝かし込んでも変に軽すぎることもなく、かといって重くて車体をねじ曲げるようなこともない。すんなり僕の体に車体がついてきてくれる。走行ラインもアンダーステアやオーバーステアになることもない。とてもバランスよく仕上げられているといっていい。ちょっと遊んで、2速で高回転をキープしながら旋回したり、4速で低回転気味でコーナーを抜けたりしてみたが、両方ともけっこうトルク感を感じられた。そしてこのトルク感こそER-6nが積んでいるパラレルツインエンジンの特徴の一つといえる。