ヨシムラ
ニュートラルで遊べる走行性を加味
僕にしてみれば、カワサキというと直4エンジンのイメージが強い。ただ、カワサキのパラレルツインを搭載したモデルにも乗ったことがあるが、けっこう扱いやすかった印象がある。そして、ER-6nのパラレルツインエンジンだが、やはり中低速の扱いやすさが際立っていた。神経質にならなくていい。肩の力を抜いてリラックスして乗り出せる。しかも、650ccならではの味付けがしっかりされている。中低速域からの吹け上がり、そしてトルク感と車体が前に押し出される感覚、これは4気筒ではなかなか演出できないだろう。さらにこの吹け上がり感だが、高速域でもそこそこキープしてくれて、意外と高回転域でもエンジン回転がアクセル開度にしっかりついてくる印象は受けた。ここは、やはりカワサキのエンジンだけあって、高回転ではとがった特性を受け継いでいる。
そして、このエンジン特性を助長しているのがインジェクションの完成度の高さだ。いわゆるドン突き、これがほとんど感じられない。加えて、低回転でもしっかりとエンジンを回転させてくれる。仮にインジェクションと知らずに乗ったとしたら、おそらくキャブレターだと勘違いするくらいの扱いやすさだ。それでいてエンジン回転のレスポンスもいい。燃料噴射の設定も非常によくて、この辺は技術者がだいぶがんばったことだろう。
また、乗る前にとても興味深々だったのがリヤショック。タンク下からスイングアームまで車体サイドにマウントされいるので、これは一体どういう動きをするのかと…。で、先入観をすべて頭の中から消して乗ったら、意外とクセはなかった。高速でコーナリングしてもヨーイングが発生せず、一般的な取りまわしのサスペンションと何ら変わらない。ギャップを越えたときの突き上げ感もない。というより、車体全体でギャップを吸収している感がある。だからといって、車体がよれるわけもない。この路面追従性は、サスペンションと車体をうまく融合させたことによる効果といっていい。
こう考えると、ビギナーの人も肩を張ることなく自然体で乗ることができ、ベテランライダーがワインディングを走るときには遊び心に応えてくれる。そう、一瞬扱いやすさだけの性能かと印象付けられるが、ワインディングではけっこう遊べるといったところ。見た目を楽しめて、走っても楽しい。デザインと走行性、双方に遊び心を持たせているのだ。
2006年モデル ER-6nの主なスペック
年式 | 2006年モデル |
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モデルコード | ER650A |
全長×全幅×全高 | 2,100×760×1.095(mm) |
軸間距離 | 1,405mm |
シート高 | 785mm |
乾燥重量 | 174mm |
エンジン | 水冷4ストロークDOHC4バルブ並列2気筒・649cc |
ボア×ストローク | 83.0×60.0mm |
最高出力 | 72.1ps/8,500rpm |
最大トルク | 6.7kg-m/7,000rpm |
燃料タンク容量 | 15.5ℓ |
タイヤサイズ | (F)120/70-17 (R)160/60-17 |