ヨシムラ
カワサキ伝統のスタイリングと最新メカニズムが融合したZ900RSは、今一番ホットなバイクと言っても過言ではないだろう。多くの人が注目しているそのネイキッドでさっそく1,000kmを走破した。
懐かしさと新しさ、コンビネーションの妙
Z900RSに注目しているライダーは非常に多い。Z1を彷彿させるこのバイクの発表を知り、リターンを決めたという年配ライダーがいるかと思えば、このスタイリングに新しさを感じ購入に踏み切ったという若いライダーもいる。なんとも不思議な魅力を持っているのだ。かく言う私もかなり気になっている。というのも80年代の空冷4気筒カスタムが流行った時代を経験しているので、倒立フロントフォークや極太ホイールが装着されたネイキッドを見るとドキドキしてしまうのだ。ゆえにかなり前から本誌編集部に「Z900RSで連載企画の1000kmをやらせて!」と猛アピールしていた。念願叶い走りに行くことになったのだが、出発時間を聞いてビックリ。何と朝4時30分だという。この超寒い時期に鬼だな…、と心のなかでつぶやきつつもZ900RSと長時間過ごせることにワクワクするのだった。
なんといってもここがポイント
極寒の朝は人間のみならずバイクにとってもキビシイ。キャブレター時代のバイクであれば始動にコツも必要だったが、現代のバイクは一発でエンジンがかかり、安定したアイドリングを奏でる。もちろんZ900RSも例外ではない。しかしここに落とし穴がある。エンジンがスムーズだからといって、すぐに車体全体が本来の性能が発揮できるわけではないのだ。冷えたタイヤのグリップ力はまったく期待できないし、サスペンション内のオイルも固いため動きが悪く、つっぱったようになる。その状態でいつもどおりに走り出すと転倒のリスクが高まるのは言うまでもない。この時期は私もとくに注意し、車体全体を暖めるよう慎重にペースを上げるようにしている。
Z900RSは、砲弾型2連アナログメーターの中央に液晶画面がある。ギヤポジションや燃料計のほかに燃費や航続可能距離、外気温などさまざまな情報を表示することができるのだ。メーター一つとっても古さと新しさをうまく融合しているなと感じる。そしてこんな季節は路面コンディションを知ることができる外気温計が役立つぞ…、と言いたいところだが、1度という表示を見て、寒さにテンションが下がる。この時ばかりは知らない方が幸せなこともあるんだなと思ったしだいだ。
メーター視認性
荷かけフック
ヘッドライト照射性
ヘルメットホルダー
クラッチ操作性
都内の編集部を出てすぐに首都高へ上がる。マフラーから吐き出される集合サウンドに包まれながら全身で寒風を切り裂いていく。上体が起きたポジションは決して高速向きではないが「ビッグバイクに乗っているぞ」という満足感と、心地よい緊張感を味わわせてくれる。私は身が引き締まる思いで西へと向かった。
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横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。