ヨシムラ
意外と気付きにくい駆動系のトラブル
ライダーが、普通に走っていると感じていても、実際は駆動系が正常に働いておらず、大きなロスになっているということがある。
具体的な症状としては
- 走行中、わずかに振動、異音がある
- 押し歩きのときにすれるような音が出る
- 人のバイクに比べると押し歩きが重いなど
ただしトラブルの初期段階では症状を感じにくく、気付いた時には重症化しているということもある。
そのような症状が発生する主な原因として、消耗品であるスプロケットやチェーンの摩耗・劣化などが考えられる。とくにチェーンは部分的に固着することもあるので見逃さないよう注意したい。
そのままにしておくと加速度的に劣化していき、燃費が悪化するのをはじめ、最悪の場合は高速走行中にチェーンが切れて後輪がロックしたり、クランクケースを破損しオイル漏れを起こすなどの事態になりかねない。異常を感じたらすみやかに新品のチェーンやスプロケットに交換しよう。その際、信頼あるメーカーのパーツを使うとトラブルの再発を予防することができる。
正常に見えてもパワーをロスしていることがある
ところが通常の消耗以外に重大な原因が潜んでいることがある。それは入手した車両が事故車でスイングアームが歪んでいたり、無理なカスタムが原因でチェーンラインが出ていないことだ。そのような場合、新品に交換しても短期間ですぐに片減りしたり、真っ直ぐに走らない・左右のコーナーリング特性が異なっているなどの問題が発生する。もちろん危険度も増してしまう。
一番簡単なチェック方法は、メインスタンドを立てて後輪を手で回すこと。そこで重さや異音がないかを確認するのだが、なかにはプロでないと気付かないような現象もあるので消耗品の摩耗が異常に早いなどの不安要素がある場合は、プロに見てもらうことをお勧めする。古いバイクでも排気量が大きいと駆動部にかかる力は相当なものなのだから。
チェーンサイズダウンで性能アップ!
「チェーンやスプロケを交換するとき、サイズをダウンするとフリクションロスが減り燃費も向上します。今までは純正が630なら530へのコンバートが中心でした。しかし最近はさらに技術が進歩したので、より軽量・コンパクトな520への変換キットが登場しました。さらなる軽量化とロスの低減が期待でき、維持コストも抑えられます」(ウエマツ岩田整備士)
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。