ヨシムラ
時間とともに劣化する部品を見極め早めに対処
ブレーキで発生するトラブルの一つが“引きずり”である。初期症状としては
- 押し歩きで抵抗を感じる
- ちょっとレバーにさわっただけでブレーキが鳴く
などが挙げられる。
「代表的な原因はキャリパーやピストンの表面に汚れが付着して、ダストシールやオイルシールとこすれて動きが悪くなるというものが多いですね。また、W1や500SSなどのドラム式の場合は、サイドスタンドで車体を斜めに保管している時に水がドラム内にたまって、ブレーキがさびてしまうこともあります」
こう語るのはウエマツ修理部の岩田さんで、そのまま無理して乗り続けるとパッドの片減りや異常摩耗、異常加熱によりローターやパッドに焼きが入り性能が低下する症状、そしてブレーキフルードの沸騰によるペーパーロック現象などに発展する可能性があると語る。どれも命に関わる危険なトラブルであり、修理のコストもバカにならない。そうならないためには早めの点検と整備が必要と岩田さんは言う。
ブレーキシステムは命に関わる最重要部品
「定期的に中性洗剤などで清掃し、正しく動いているか、オイル滲みがないかなどをチェックしてください。古いバイクでもオーバーホールによって内部をクリーニングし、ダストシールなどのゴム類やフルードを新品に交換。ピストンをキレイに清掃して正しく組み付ければ正常に機能することが多いです。年式が古いと、ブレーキホースの劣化やローターが限界まで減っていたり、ピストンがサビで侵されていることもあります。当然すべて交換になり、コストもふくらんでしまいます。症状が悪化する前に早期発見してほしいですね」
また別の原因でトラブルになることもある。例えば漏れたフォークオイルがパッドに付着するなどだ。こうなるとまったく止まらないという恐ろしい事態になってしまう。これも定期的な清掃でチェックできる。少しでもおかしいと思ったら早めにプロに相談することが、安全で楽しい絶版車ライフを送る秘訣である。
Z1系と2スト3気筒系はブレーキ鳴きが多い
オーバーホールし、完璧な状態に組み上げてもZ1系や2スト3気筒系はブレーキの鳴きが起きやすい車種です。またそれに対して有効な対策品も出ていません。ウエマツでは長年の経験を活かし、パッドにスリットを入れたり比較的鳴きにくいパッドをセレクトするなどしています。どうしても鳴き止まない場合はご相談ください。(ウエマツ整備士 岩田さん)
横田 和彦
1968年6月生まれ。16歳で原付免許を取得。その後中型、限定解除へと進み50ccからリッターバイクまで数多く乗り継ぐ。現在もプライベートで街乗りやツーリングのほか、サーキット走行、草レース参戦を楽しんでいる。