THE MINORITY

伝説の名車だけがカワサキではない。あふれる個性を持つカワサキのマイノリティ(少数派)たちを紹介

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ヨシムラ

1977 KV75

小さなダイナマイト

ハンドルやシートを折りたたんでクルマのトランクに入れ、行った先で「アシ」として使う。これは67年、ホンダのモンキー(Z50M)が打ち立てた新しいバイクの概念で、現在で言う「レジャーバイク」というジャンルの始まりである。モンキーはキャンプなどのレジャー用として人気をはくし、海外にも積極的に輸出された。

そしてモンキー以降、ダックスやバンバンなどホビー色の強いバイクが次々と登場し、時代はレジャーバイクブームの様相を呈する。そんなムーブメントの中でカワサキがリリースしたのが、今回紹介するKV75だ。ベースとなったのは輸出用の75MT1という車両で、小さいながらもキビキビと走ることから「ダイナマイト」の愛称を得たモデルである。

車両の特徴はやはり、折りたたみ式ハンドル・脱着式のステップとシート・タンクキャップのON/OFFコックなどを装備し、収納性やクルマへの積載性が考慮されていたこと。またミッションは自動遠心クラッチの3段変速で、運転のイージーさも追求されていた。

しかし、そのイージーさの反面で独特の操作方法を持つバイクでもあった。なんと自動遠心クラッチでありながら左グリップにはレバーを装備。これが何のためのレバーかといえば、リヤブレーキなのである。つまりブレーキだけはスクーターのような操作になっているため、「ギアチェンジ時に思わずリヤブレーキを握ってしまう」という笑い話もKV75にまつわる伝説の一つである。

これ以降のカワサキのラインナップで言えばKSやKSRが一番近い存在のようにも見えるが、さすがにクルマへの積載性までは考慮されていないはず。国内向けモデルの中で、純粋に「レジャーバイク」と呼べるのはKV75だけなのかもしれない。カワサキの歴史の中では、まさに貴重なモデルと言える。

[カワサキ・レジャーバイクヒストリー]KV75以外にカワサキの「レジャーバイク」といえば、以下の2台くらい。上は元祖の「コヨーテ」。輸出車で、しかも限定車だった。下がKV75のベースとなった75MT1。スプリングがむき出しのフロントフォークが斬新である

当時のカタログから

KV75が登場したのは実に25年も前のこと。カタログを見れば時代がわかる、とばかりに当時のカタログをチェック! するとこのカタログがかなりファンキーで、吹き出さずにいられない仕上がり。なぜKV75がマイナー化したのかがわかるような、わからないような…

KV75 SPEC

●全長×全幅×全高:1,390×610×890(mm) ●軸間距離:950mm ●車両重量:59kg ●エンジン形式:空冷2ストロークピストンバルブ単気筒 ●排気量:73cc ●ボア×ストローク:46×44(mm) ●最高出力:4.3ps/5,750rpm ●最大トルク:0.59kg-m/2,000rpm ●発売当時価格:10万4,000円




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