ヨシムラ
この企画はライディングポジション、ミラー、シート、サスペンションなど、ある特定の機能や装備をインプレッションするという企画だ。“一ヶ所だけの感想で2ページも語れるのか?”といった心配もあるが、意外と語るべきネタは多い。
後方視認性にすぐれたカワサキの異型ミラー
ミラーに関して近年、メーカーを問わず多く見られるようになってきたのが、鏡面がひし形のような形をした異型ミラーだ。カワサキも例外ではなく、多くの現行モデルに異型ミラーを採用している。さらに言うと、カワサキ車に採用される異型ミラーがもっとも後方を確認しやすいのではないだろうか。
カワサキの異型ミラーは他社モデルに比べて左右、真後ろとも確認しやすいモノが多い。そのカワサキの異型ミラーのうち今回は、カワサキ車の中でも比較的早く異型ミラーを採用したニンジャ400を例にミラーの性能をチェックした。
ニンジャ400/Rシリーズは初期型の11年式から異型ミラーを採用するが、その年代では基本コンポーネントをほぼ共有していたニンジャ650が、その前身モデル09年ER‐6fから異型ミラーを採用する。ニンジャ400はこれまで2回、機能的変更を受けているが、後方視認性が一番いい型式は14年式から17年式までのE型ではないだろうか。E型では横方向の視界を確保しつつ、ヒジを動かさなくても真後ろがシッカリと確認できたのだ。ライダーにとってはかなり心強いミラーといえる。ただ、パルス感の強い並列2気筒エンジンだからか、100㎞/hくらいで鏡面がブレるのが気になった。
後方からの刺客を見逃すな!
そのブレがやや解消されているのが、18年にモデルチェンジされた現行ニンジャ400だ。ただ、ミラーに映る後方の視界は、E型のほうが適切な箇所を映していた。今回チェックしたモデルの場合、横方向は広いのだが、真後ろを確認する時に、E型に比べればヒジが少しジャマになってしまっていた。それでも、一般的には見やすいミラーといえる。
視認性確保という点で、ミラーにとって重要な点がもう一つある。それは調整のしやすさだ。今回のニンジャ400のようなカワサキのカウルマウント型ミラーは、メーカー推奨のミラー位置に誰もが的確に合わせることができるのである。その調整のしやすさゆえ、他社モデルに乗るオーナーが、カワサキのミラーを純正流用しているくらい。こういった工夫は利便性にもこだわるカワサキならではといえる。
車両の真後ろに人が立ち、ミラーの後方視認性をチェックした。横方向はかなり手前まで映り、ライダーのヒジが少しジャマになるとはいえ真後ろも確認できる。映る範囲が広く死角が少ないミラーで、事故回避に大きく貢献している
今回のチェックマシン「Ninja 400」
![[1点集中チェック!]Ninja 400のミラー](https://www.kawasaki1ban.com/wp-content/uploads/2021/08/ninja-400-mirror-check_10-580x386.jpg)
11年式からラインナップされているフルカウルスポーツモデルで、14年と18年に機能とデザインが大きく変更されている。11年式から17年式まではニンジャ650/R、18年式からはニンジャ250と基本コンポーネントを共通としている。そのため前型はツアラーの要素が強かったが、18年式からよりスポーティで軽快感が増した走行性能となっている。年々人気が増していて、現行カワサキ車のなかではヒットモデルの1つとなっている
Ninja 400の主なスペック
全長×全幅×全高 | 1,990×710×1,120(㎜) |
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軸間距離 | 1,370㎜ |
シート高 | 785㎜ |
車両重量 | 167㎏ |
エンジン型式・排気量 | 水冷4ストロークDOHC 4バルブ並列2気筒・398㎤ |
ボア×ストローク | 70.0×51.8(㎜) |
最高出力 | 35kw(48㎰)/10,000rpm |
最大トルク | 38N・m(3.9kgf・m)/8,000rpm |
燃料タンク容量 | 14ℓ |
タイヤサイズ | (F)110/70-17 (R)150/60-17 |
価格 | 71万5,000円/72万6,000円(KRT EDITION) |
井田 幸雄
カワサキバイクマガジン編集部員。旅の移動手段としてバイクに乗り始め、オン/オフのツーリングを楽しんできた。約30年のバイク歴のなかで、所有したカワサキ車はスーパーシェルパ、Z1R、そして現在乗っているGPZ900Rだ ■身長:170㎝ ■体重:50㎏