ヨシムラ
いまやサスペンションにも電子制御が取り入れられる時代。カワサキではNinja ZX-10R SEから採用されるようになり、Ninja H2 SX SE+など、スポーツツアラーにも採用例が増えている。電子制御サスペンションの性能を体感した。
制御を感じさせずに安定感が増して快適に
前編では電子制御サスペンションの概要を紹介した。それでは実際の戸田氏のインプレッションはどうだったのか。
「前後サスペンション内にはストロークセンサーが内蔵されていて、サスペンションの動きをそのストロークセンサーが瞬時に検知して必要な制御を行なっています。センサーの検知に対するサスペンションの反応時間にはタイムラグを感じません。しかも、ストロークセンサーによる制御はサスペンションの動きを重視していて、必要以上に車体姿勢の変化には介入していません。ですから、バイクを操っている感覚は今までどおり。かつ、電子制御サスペンションにより、路面状況に合った減衰特性となっていて、安定感が増して、より走りやすくなっています。
Ninja H2 SX SE+とNinja ZX-10R SEともに、それぞれのKECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)には基本モードが設定されています。Ninja H2 SX SE+であれば、ワインディングは“ROAD”か“SPORT”が適正です。今回試乗した凹凸が多い路面のワインディングでは、少し柔らかく感じる“ROAD”の方がいい感じでした。自分でセッティングができるモードの“RIDER”は、スタンダード設定のできがとてもよく、乗り心地といい、サスペンションの動きといい、いい感じに設定されていました。
Ninja ZX-10R SEの基本モードに関しても、今回の試乗コースならソフトな減衰力調整となっているモードの“ROAD”が最適でしたね。たぶん車速に合わせて減衰力の効き方の調整も行なっていると思いますから、よくできています。対して、“TRACK”のモードはエンジン特性がピーキーになるので、まさにサーキット向けですが、サスペンションの減衰力調整に関してはワインディングでも悪くなく、多少ゴツゴツ感はありますが、収束がすごく早い。路面の凹凸で振られてもすぐに収束してくれる安心感があります」
さらに、電子制御サスペンションのメリットについて、戸田氏は次のようにも話す。
「ツーリングで疲れを感じ始めた時にはマニュアルセッティングで減衰力を柔らかくすると、乗り心地がよくなって運転もラクになります。今までは工具を使わないとできなかったサスペンションの減衰力調整が簡単にできるのが電子制御サスペンションのいいところです。これを活用すると、さらに安全で快適に走れるようになるのではないでしょうか」
Ninja H2 SX SE+セッティングメニュー
インテグレイテッドライディングモード
パワーモード | KTRC | KECS | |
---|---|---|---|
SPORT | F(100%) | 1(介入、小) | HARD(硬め) |
ROAD | F(100%) | 2(中間) | NORMAL(標準) |
RAIN | L(50%) | 3(介入、多) | SOFT(柔らかめ) |
ライダーモード(基本モード)
HARD(硬め) | スポーツライディングや高荷重時に適したセッティング |
---|---|
NORMAL(標準) | 路面の凹凸に対する吸収性を高めた標準的なセッティング |
SOFT(柔らかめ) | 濡れた路面に対して効果的な、もっとも柔らかいセッティング |
ライダーモード(マニュアルセッティング)
プリロードモード
プリロードモードによるシート高の変化
Aモード | 470㎜ |
---|---|
Bモード | 471㎜ |
Cモード | 485㎜ |
Ninja ZX-10R SEセッティングメニュー
基本モード
マニュアルモード
スイッチ一つでリセット
試乗モデル/2019年モデル Ninja H2 SX SE+
試乗モデル/2019年モデル Ninja ZX-10R SE
山下 博央
フリーランスライター&カメラマン