人とバイクの交差点

カワサキ乗りの個性的なバイクライフを紹介していくカワサキバイクマガジン連載企画。それぞれの人間模様やバイクとの関わりかたに迫る

いずれまたテイスト・オブ・ツクバにリベンジしたい。─ 海鮮料理店「旬味 海鮮本舗」店主

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ヨシムラ

イベントも多数開催される天文館公園の目の前のある旬味 海鮮本舗。ディナーでは鹿児島産などの海鮮を堪能できる。そこを切り盛りする店主はレースやツーリングを楽しむバイク乗りだ。

バイクは人と人との縁を紡いでくれる

天文館公園の前にある旬味 海鮮本舗。扉を引けば物腰の柔らかいご夫婦が温かく迎えてくれ、鹿児島の旬の海鮮などを味わうことができる。切り盛りする増留光輝さんは、幼少時から料理とバイクに触れてきた。

「両親が共働きだったので、自分でご飯を作るという機会が多かったんです。それが楽しいなと感じていたので、将来は調理師とか料理に関わる仕事に就きたい、そして自分のお店を持ちたいと考えていました。バイクは小学生のころだったと思いますが、バイクに乗る伯父が後ろに乗せてくれて…。そこから好きになりました」

調理師になる前は異なる業種に就いていたそうだが、その時の先輩の言葉「そういう夢があるのなら、若いうちに早く行動を起こした方がいい」を機に転職。他店での修行を経て、約22年前に旬味 海鮮本舗をオープンした。そしてこのお店を通して、バイクと人との“縁”がつむがれているそう。

増留さんは16歳で中型二輪免許を取得してから、ずっとバイクを所有しているが、子どもが生まれたこともあって、しばらくバイクには乗らない生活を送っていた。それから子育てが一段落したことや、幼なじみが再びバイクに乗り始めたのを見てリターン。このときレースにも興味を持ったのだという。

「リターンしてから大型二輪免許を取得しました。その時は他メーカーの旧車が欲しいなと思っていたのですが、インターネットオークションで『この価格では落とせないだろうな』と思いつつ、ダメ元で入札したら落とせちゃったんです。それが今の愛車、1976年式のZ1000です。お世話になっているバイクショップでいろいろと整備してもらって、HSR九州で開催しているドリームカップに個人で参加していました。空冷Zでも混走で走れるんですよ。だけどそういったバイクで走っているのは僕ぐらいでしたし、当時はレースのことについて右も左もわからない状態でした」

レースのポスターや増留さんがレースに参戦したときの写真
レースのポスターや増留さんがレースに参戦したときの写真

店内にはカウンター席と小上がりの席があるのだが、レースのポスターや増留さんがレースに参戦したときの写真がさりげなくかざられている

そんなある日、来店したご夫婦と話していると、その人たちもレースを楽しんでおり『一人でやっているのなら手伝いますよ』と申し出てくれたそう。店ではたまたま東京から鹿児島に出張で来ていた人が来店。その人もバイク乗りでさらには共通の友人もいた、ということもあったのだとか。また、阿蘇で行なわれたバイクイベントでは知人がアイアンホースドリームカップを立ち上げた人を紹介してくれるなど、レースをより楽しめる環境が整い始め、今ではレースでサポートしてくれる人が周囲にたくさんいるのだという。

そして、出たいと思っていたテイスト・オブ・ツクバ(以下T.O.T)にも出場。だが、鹿児島にある自宅から筑波までクルマを運転して2回ほど参戦したが、いずれも前日走行で転倒して骨折してしまい、決勝を走ったことはない。だから今の目標の一つは、もう一度T.O.Tにエントリーして決勝を走ること。また、アイアンホースドリームカップでは表彰台を目指したいという。

ランチとディナーの営業に加え、休みは週1回が基本なので、なかなかバイクに乗る時間がとれないが、愛車を公道仕様に戻した時は、増留さんがバイク、家族はクルマでキャンプに出かけることもあるという。

「バイクやレースを通して新たに友人ができる。そういうところが魅力の一つだと思いますし、ありきたりですけれど、バイクは風を感じて走れるのが楽しいです」

縁がつながっていくのは増留さんの人柄もある。きっと今日もその笑顔で、店の扉を開けた人たちを迎え入れているだろう。そしてバイク談議に花を咲かせているかもしれない。

増留光輝さん

小学生のころに叔父が運転するバイクの後ろに乗り、バイク好きに。16歳で中型二輪免許を取得。一時バイクから離れたものの、2011年にリターンした。1970年生まれ

取材協力旬味 海鮮本舗
住所鹿児島県鹿児島市樋之口町10-23第八京幸ビル1F
電話番号099-226-9543



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