ヨシムラ
ノジマエンジニアリングは90年代後半よりZRX1100でレースに取り組むようになった。その挑戦は、やがて鈴鹿8時間耐久レースで結実し、その後スポーツネイキッドのZ1000にも積極的に取り組んだ。
究極のネイキッドをひたすら追い求めた
ノジマエンジニアリングといえば、ZRX1100/ZRX1200Rのリヤショックをモノショックに変更したNJ-1、NJ-2が有名だ。鈴鹿8耐に参戦したモノショックのZRX1100(NJ-1)を記憶している読者も多いだろう。この車両は同社がZRX1100で、レースに挑戦し始めたばかりのころのもので、まだリヤショックもノーマル同様、ツインショックのままである。この状態からひたすらモディファイをくり返し、モノショック化という答えにたどり着くのである。同社はZRXシリーズをはじめとするネイキッドのモノショックカスタムを展開している。このカスタムメニューはNJ-2サービスと呼ばれ、他車種をモノショック化するNJ-3サービスやNJ-5サービスなども用意され、総じてNJサービスという。このNJサービスの原点となったマシンがZRX1100と言っても過言ではない。
鈴鹿8耐参戦を経た同社は、次のレース用ネイキッドとしてZ1000を選んで、レース参戦を再開した。このZ1000は、キャブレター化することでセッティングの幅を広げつつも、徹底的にモディファイされたZRXレーサーとは異なり、その素性のよさを活かしてモディファイは控えめな印象だ。同社はこのZ1000でテイスト・オブ・フリーランスをはじめとするレースに参戦し、好結果を残すとともに、スーパーネイキッドというカテゴリーの魅力を世に広く知らしめたのだ。
ZRX1100
伝説の8耐マシンの原点
当時の資料を参照すると、エンジンは給排気系とカムシャフトに変更が加えられたと記録されている。この状態でかなりのパワーを発揮していたようだが、足まわりや車体とのバランスを考慮して、エンジンにはこれ以上のモディファイを加えていないようだ。フレームは補強を徹底し、リヤにオリジナルのスイングアームを使っているが、まだツインショックのままとなっている。また、フロントフォークはノーマルをモディファイしたものとなっている。
NJ-1
ネイキッドの常識を打ち破った
ノジマエンジニアリングは、鈴鹿8耐という世界でも有数の過酷なレースにZRX1100ベースのマシンで1999年、2000年と2年連続で参戦している。スーパースポーツでさえ予選通過もままならないなか、モノショック化された同社のNJ-1は周囲の予想を覆すパフォーマンスを発揮。2000年には一時総合13位というポジションを走行した。このレースでつちかった技術とノウハウをもとに、同社はネイキッドバイクのモノショック化サービスを開始した。
ストリートへのフィードバック
NJ-1の開発によって得られた技術をストリートに展開するべく、ノジマエンジニアリングは2002年よりNJ-2サービスを開始した。リヤのモノショック化によってツインショックの限界を打破し、ネイキッドでの走行性能は格段にアップするのである。これまでに多くのユーザーがこのサービスを利用しており、今でも注文は続いている。
Z1000
新時代のネイキッドも手がける
テイスト・オブ・フリーランスやモトルネッサンスといった有名レースで圧倒的なスピードを見せ付けたノジマエンジニアリングのZ1000レーサー。NJ-1と比べると、そのモディファイは少ないが、野島氏いわく、バイクのできがよかったのが理由だった。フレームは剛性が高すぎる印象で、ピボットまわりの肉厚を落とすなどしている。また、インジェクションをいくらセッティングしても求めるエンジン特性は発揮できなかったため、キャブレター化を敢行した。
夏目健司
東海地区で雑誌の取材業務に携わる。社会ネタから街ネタ、スポーツ取材と、どんな現場にも駆けつけます。
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