ヨシムラ
北関東に位置する上野国(こうずけのくに)、太田市に世良田あり。徳川の発祥は世良田氏。天下を治めた徳川が、ゆかりのあるこの地に世良田東照宮を建てて参拝者を集った。
桜舞い散る枝の下、人形代に願を懸ける
ビルの狭間を忙しく埋めるクルマを避けながら都心を抜け出した。陽気が雲の切れ間から差し込む関東平野を、のんびりと走って向かった先は群馬県太田市。今回は徳川家発祥の地である世良田町だ。徳川家康に関係する東照宮といえば日光東照宮が初めに頭に浮かぶことだろう。だが、世良田にも世良田東照宮があるというのだ。新田氏→世良田氏→徳川家康(徳川は家康から始まっている)という説があり、つまり、徳川家のルーツがこの世良田にあったという説になる。江戸の鬼門にあたる日光の方角に家康の遺骸を守護神として祀るために日光東照宮が建立されたのち、徳川(新田氏および世良田氏)のルーツである世良田町にも世良田東照宮として家康を祀ることにしたわけだ。なんとなく「徳川って愛知のほうじゃなくて群馬のほうから来たのかぁ」くらいで覚えておけばいいと思う。
歴史的な話はこのくらいにしよう。訪れてみると枝葉を大きく広げた桜が出迎えてくれた。実に見応えがある。日光ほどの絢爛さは皆無だが趣があっていい。左側には、体の不調を身代わりになってくれる人形代祈願の祠がある。筆者は初めての経験なので、なぜか背中がゾクゾクとしながら人形代に名前を書いた。実は全国ツアーの最中に不注意から肋骨を3本骨折してしまっていたので、回復祈願をすることにした。祈願には鳥居の潜り方や神拝詞のセリフなど、いくつかの決まりごとがあるので、説明に従って人形代を水に浮かべた。ちょっとしたイベントである。ドキドキしたが楽しかった。
地元のミュージシャンにうまいものを尋ねると、助平屋の焼きまんじゅうを勧められたので食す。外はカリカリに焼かれ、なかは味噌ダレが染み込んでいてジュワりと甘辛いが、なかなかに個性的な美味さだ。粉文化の県ということで地元民が足しげく通う、そば処 竹林に移動。1人前と同額で1・5〜2人前まで選べるので、思い切って2人前を頼む。十割蕎麦は風味もよく、しっかりと歯応えもあって大満足。あとは温泉でも入りたいところだが、そこは欲張らず時間に余裕を持って戻ることにした。ツーリングの要は安全運転が一番。事故なく帰ればまた足を伸ばせるのだから。
コレを食っとけ
天ぷらそば
太田市の外れにある隠れた名店、そば処 竹林は十割そばの店。そば一人盛りで780円。ただし、増量が無料。1.5人前、2人前まで同額。筆者は天ぷら付き1,300円にした。もちろん2人前に増量で同額。最後のそば湯まで堪能して大満足
落合 みつを
シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/