ヨシムラ
緑豊かな山間をW800とともにゆったりと走る。目指すは吉田松陰と維新の志士たちの軌跡。途中で見つけた数々の史跡はまるで誰かに呼び寄せられたような不思議な旅になった。
緑豊かな山陰の道は視覚と嗅覚を癒す
島根県から山口県萩市へ向けてW800を走らせる。山間部の国道を上ってゆくと集落を見付けた。山の向かい側に、けんらん豪華な神社が見える。のぞいてみたら日本五大稲荷神社だという。この太鼓谷稲荷神社は商売繁盛はもちろん、勝負の神として山陰地方では有名な神社だった。さっそく参拝祈願したあと、宮司に地元の歴史について楽しく教えていただいた。
その後、山口県へと入ってすぐの田んぼ道に、つつましやかに立てられた看板を見付けた。走り去ろうと思ったが気になりUターン。岩手で訪ねた源義経の側室、静御前墓所と書いてある。この道を走っていなければ出合うことはなかったと思うと静御前に招かれているような不思議な気分になった。墓所の前に立ち、手を合わせて岩手でめぐった義経の話をひとり語りかけてきた。
来た道を戻り、萩へと向かう。維新の志士を生んだ、西の虎・吉田松陰を祀る松陰神社に到着。境内には松下村塾などの軌跡が並ぶ。志を高く持ち、後の英雄たちに多大な影響をおよぼした松陰の生涯を感じた。
この日はキャンプ場に泊まる予定だったので食材を集めるために道の駅に寄る。すると白髪の老人がものめずらしそうにバイクへと近付いてきた。自分の家でコーヒーでもどうかと誘われたので、図々しくも寄らせてもらった。するとこの老人、萩焼の陶芸家だというではないか。函館生まれで陶芸を志し、萩へとたどり着いたという。見ず知らずのバイク乗りをナンパするあたり、さすがタダ者ではなかった。自宅を兼ねたギャラリーを拝見し、出発しようとしたら「泊まっていきなさい」とひと言。まさにこれが一期一会。旅とは出会いだと心に深く刻んだ1日だった。
ここに寄っとけ
太鼓谷稲荷神社
島根県と山口県の県境にある集落太皷谷。ここで見付けた太皷谷稲成神社は伏見稲荷などと並ぶ日本五大稲荷神社だ。小高い丘の上に建てられているがバイクやクルマで上まで上れる。宝くじ当選や勝負運の神として全国から祈願に訪れる参拝者が後を絶たない。近くまで来たならぜひ、祈願して見るべし!
落合 みつを
シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/