ヨシムラ
「エンヤー・エンヤー」「ヨイサー・ヨイサー」と威勢のいいかけ声と祭りバヤシが秋空に息吹く。唐津くんちでからしたノドを、唐津焼に注がれたうまい地酒でうるおす。目と舌で楽しみつつ、本当に満たされたのは旅する心だった。
356年の歴史を持つ秋季例大祭、唐津くんち
佐賀を訪れた時、唐津くんちを筆頭に興味をそそられるワードがあったので、全部探ろうとめぐってみた。
まず名護屋城博物館へ。ここでは、秀吉が朝鮮出兵にともない、全国の武将を一同に集めた唐津の歴史を紹介している。名護屋城址や武将の陣屋跡、地図や看板があるのでバイクでめぐるのがちょうどいい。秀吉のころから求められた唐津焼。窯元を訪ねてみてもおもしろい。進化を遂げた唐津焼はおくんちとともに唐津の歴史を体現している象徴といえる。
ひとしきり歴史を学んだら、いざ“おくんち”へ。幽玄な宵山、大迫力の御旅所神幸、名残惜しむ町廻り。3日間行なうこの祭事は唐津神社の奉納行事なのだ。来場者数60万人ともいわれ近年その盛り上がりは加速している。荘厳な雰囲気のなかで執り行なわれる奉納の儀式を終え、各々が受け継いできたヤマを引くヒキコの姿がなんとも勇ましい。祭も終盤になれば取締役(曳山の代表者)や若衆のつぶれたノドで叫び続ける声が、不思議な興奮とはかなさを感じさせてくれた。これこそ、肌で感じてほしい日本を代表する祭だ。
クライマックスは曳山が展示場へと帰還する。重い扉が閉まり、また一年後と思った時には、あふれてくる切なさに胸が締め付けられた。興奮冷めぬまま地元の方におくんち料理と地酒をいただき大いに楽しんだ。祭とともに生き、歴史をつむいでいく唐津という町と人の魅力が旅する僕の心を満たしてくれた。
ココに寄っとけ
唐津地酒
佐賀の地酒といえば鍋島が有名だが、唐津となるとひと味ちがう。万齢に太閤、古唐津など実に個性的な酒が顔をのぞかせる。唐津焼のぐい呑みでいただけば、より一層美味く感じること間違いなし
Caffe Luna
唐津っ子に愛されるオシャレなCaffe Lunaを営むのは唐津に根を張った、横浜育ちの美人オーナーの真子(しんこ)さん。居心地のいい雰囲気が漂う店内には若き陶芸家の器が料理に彩りを加えている。※地酒あり
落合 みつを
シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/