
20年の長きにわたり販売され続けたGPZ900R。その間、幾度かのモデルチェンジが行なわれ、車体や機能は進化していく。そしてその陰でわずかではあるがロゴも変化していったのであった。
ロゴデザインに隠されたおもしろエピソード
年式や仕向地によって多少の違いはあるものの、GPZ900Rのボディには、車名をはじめ、いくつかのロゴが入れられている。そのなかでもっとも目に付くのは、なんといっても“Ninja”のロゴだろう。GPZ900Rという車名よりも、“ニンジャ”というペットネームの方がとおりがよかったりする。これもあの個性的なロゴデザインがあればこそなのかもしれない。ではここで一つ、あのロゴデザインの誕生に関する有名なエピソードを紹介しよう。
GPZ900Rの発売に際し、ロゴデザインを検討しているときのことである。ある時、日本側が考案した“Ninja”のブラシ文字のデザインをアメリカのデザイナーにファックスしたところ、機器の不調により文字が斜めにゆがんで出力されてしまった。しかしケガの功名というべきか、それが「なかなか悪くない」ということになり、あのようなちょっとゆがんだロゴデザインが採用されたのだと言う。つまり偶然の産物だったのである。
ニンジャを愛してやまないマニアの方々にとっては有名すぎる話なのかもしれない。しかし、このような逸話があるのもまた、ニンジャの魅力の一つなのである。
また、ロゴに関していえば、20年というロングセラーを記録した車両なだけに、全モデルを見比べてみると、車体に入っているロゴにもいくつか変遷があるのがわかる。以下にそのいくつかを紹介するので、その観点で自分の愛車を観察してみてもおもしろいのではないだろうか。
アッパーカウル
[ZX900-A3]1983年、車名表記のZが小文字から大文字になったことを受け、A1・A2モデルでは何も書かれていなかったアッパーカウルのサイドに、“GPZ900R”のロゴが入る
[ZX900-A4]1987年のA4モデルでは、前年のA3モデルでアッパーカウルのサイドに入れられた“GPZ900R”のロゴが、“GPZ”だけの表記へと変更される
[ZX900-A7]フルモデルチェンジを受けたこのモデルでは、それまでフューエルタンクのサイドに入っていた“Kawasaki”のロゴが、アッパーカウルサイドへと移動された
[ZX900-A9]このモデル以降、アッパーカウルには“Ninja”のロゴが入ることとなる。ただ、これ以前にも輸出先によってはこの部分に“Ninja”のロゴが入っているモデルもある
アンダーカウル
[ZX900-A2]このモデルでは、アンダーカウルのサイド部に、排気量をあらわす“900″の文字が入れられている。ただし、一部の輸出先仕様モデルでは数字が入っていないモデルも存在
[ZX900-A3]前年のA2で入れられた“900″の数字の後に赤文字の“R”が付け加えられた。このロゴデザインは1989年のA6モデルまで引き継がれることになる
[ZX900-A7]車体のフルモデルチェンジを受けて、“900R”のロゴのデザインも変更される。前モデルまで赤文字で表示されていた“R”が、“900″と同一色となった
サイドパネル
[ZX900-A1]初代モデルであるA1には、サイドパネルに車名ロゴが入れられていた。A2モデルまでは車名表記が“GPz900R”だったため、それを受け“z”が小文字となっている
[ZX900-A5]1986年に車名表記が“GPz900R”から“GPZ900R”に変更される。A3・A4モデルではサイドパネルにロゴが入らなかったため、サイドパネルの車名ロゴはA5からとなる
[ZX900-A7]サイドパネルの車名ロゴも、1990年のモデルチェンジによってデザインを一新。“900R”の表記がなくなり、デザイン処理した“GPZ”の表記となった