ヨシムラ
太閤秀吉の時代、佐賀の唐津は世界へ向かう拠点となった。江戸時代、鍋島藩士は武士の生きる道を説いた。佐賀を訪れたのは夏のこと。歴史あふれる佐賀の魅力を、夏のスコールをかわしながら探して走った。バイク乗りが集う峠に寄って、愛車を讃え合う。微笑みがあふれる佐賀の魅力を紹介する。
全てを佐賀産で作り上げた“The SAGA”ってなに?
九州の旅も中盤に差しかかったころに佐賀を訪れた。長崎から佐世保を抜け、立ち寄ったのは国見峠。ここは長崎からトンネルを抜けて左手にある大きな駐車場だ。この日は、天気のよさもあって絶好のツーリング日和で、見渡せばさまざまなバイクが集まっていた。地元のバイク乗りが多いのかと思い話しかけてみると、九州のあちこちから集まっていた。女性ライダーと仲よく話す男性ライダーは一見ツーリング仲間のようだったが、たまたま今ここで会っただけとのこと。こんな風にすぐに打ち解け合えるのは、バイク乗り特有の魅力であろう。しばらくすると我がW800のルーツW1が現れ、当時のままのビチビチ音を聴いてニヤけてしまった。偶然が織りなす楽しいバイクミーティングのようだった。
国見峠を後にして、陶磁器の町、波佐見、伊万里、有田と走り唐津に到着した。唐津は豊臣秀吉が日本中の武将を集めて中国(当時は明)出兵する際に起点にした町だ。間違いなく日本の中心的役割を担った町である。そのせいか唐津の人はプライドが高い。地元の歴史に対して敬意を払い、受け継がれた唐津くんちの催事を大切に守り続けている。各町内でそれぞれの曳山を持ち、保存、継承を代々行なっている。リーダーに従う曳き子の姿は一丸となって歴史を刻む進行形だ。
この日、唐津の夜市で、ある兄弟と出会った。リズムを奏でる千鳥足に、唐津のいい店を聞き出せそうな予感がして声をかけたのだ。すると、こころよく京町のおしゃれなカフェ、ルーナへ連れていってくれた。意気投合した我々は大いに飲み、そして歌ったのである。音楽と酒が結ぶすばらしさを感じた一夜だった。
唐津を後にし、長崎街道に向かう。当時、鎖国を行なう日本にとって長崎は外交拠点だった。佐賀の長崎街道は重要な関所の役目をはたしていた。大げさでなく、この街道が世界へつながっていたのである。
そしてたどり着いた長崎街道の橋。鍵の字で組んである橋は、攻め入られても直線で走り込めないように設計されている。今では道が別にあるので、わざわざこの橋に目を向けるものはいない。だからこそ、ぜひ立ち寄って歩いてみたい。
佐賀城跡を見ておこうと思い向かう途中に“鍋島”と大きく書かれた店頭幕を見つけて立ち寄る。たまたま見付けた山田酒店はThe SAGA認定酒を多く扱う店だった。The SAGAとは、地元佐賀の米、水、蔵元が作る酒ブランドのこと。ご主人は笑顔の絶えない気さくな方で、たずねれば快活に詳しく教えてくれた。佐賀のこだわりの酒を飲みながら三島由紀夫の『葉隠入門』を読んでみようか。
これを買っとけ!「The SAGA」
フランスのボルドーワインをヒントに佐賀県原産地呼称管理制度を設けた“The SAGA”。
【The SAGA認定酒】①佐賀県産原料を100%使っている。②佐賀県の蔵元が醸造・蒸留している。③味や香りバランスにすぐれ、味覚審査で合格した純米酒・本格焼酎。日本酒11種。焼酎6種。11年、鍋島大吟醸が世界最大級の品評会で最高賞チャンピオン・サケ受賞
落合 みつを
シンガーソングライター。新潟県出身。2004年メジャーデビュー。世界初の分解ギターをヤイリギターと製作する。現在、愛車W800との旅をウェブ TVで世界配信中。全国コミュニティFM7局放送中『今日はどこまで歩こうか?』詳しくは公式HPインフォメーションにて
http://information.mitsuwo.com
Web TV『落合みつをの今日はどこまで走ろうか?』
http://www.mitsuwo.com/