ヨシムラ
日常生活のなかでカワサキネタを発見しようというこの企画。今回取り上げるカワサキネタは、カワサキの国内関係会社が開発・製造している除雪車だ。ここで紹介するHTR300Mは、作業効率を高めるさまざまな機能が織り込まれている。
太平洋側地域など、冬でもあまり雪の降らない地域に住んでいる人にはなじみが薄いかもしれないが、今回は除雪作業車を取り上げる。川崎重工の国内関係会社である日本除雪機製作所が開発した多機能型ロータリー除雪車『HTR300M』だ。日本除雪機製作所は、除雪機の油圧走行方式を日本で初めて開発するなど、国内における除雪機開発を牽引するトップメーカーである。ここで紹介するHTR300Mは、同社の高度な技術力がふんだんに注ぎこまれた製品の一つで、除雪作業の効率化を実現する機能が充実している。
なかでも、車体前方に装着する除雪装置を交換できるのが最大の特徴だ。除雪車には、雪を路肩などに掻き寄せる車両と、雪を巻き込んで吹き飛ばす車両があるが、HTR300Mは雪を掻くプラウと雪を飛ばすロータリーを10分程度で付け替えられ、2台分の作業をこなすことができる。これにより、除雪作業を通常の半分のコストで行なえる。
除雪装置の取り替えができる!
また、パワーユニットにも注目したい。HTR300Mには、日本除雪機製作所の独自技術である動力分配方式が採用されている。これは、エンジン出力を走るための力と除雪装置を動かすための力に分配する機構で、2系統の動力源を統一し、車体構造の簡素化にもつながっている。
動力分配方式
その他には、ステアリング方式を切り替えられることもポイントとして挙げられる。前輪を切って方向転換するフロントステアリングモードに加え、より小回りの利くセンターピン屈折モードも備わっているのだ。HTR300Mは、運転席などがある車体前部と、エンジンなどが搭載される車体後部の間が折れ曲がるようになっており、センターピン屈折モードでは、車体の前部と後部をへの字型に曲げることで、狭い場所での向き変えをより容易なものとする。
2パターンのステアリング方式
こういった機能や車体構造を武器に、HTR300Mは雪国での道路整備に大いに役立っている。コスト削減と作業の効率化が求められるインフラ整備事業において、HTR300Mの機能性の高さはまさに理に適った製品といえるだろう。
カワサキだけでもその事業領域は幅広いが、関係会社による事業も含めると、活躍の場はさらに広まる。カワサキの大きさを、あらためて実感させられる。