ヨシムラ
97年、前後輪が17インチとなったゼファーχが登場。友人が注文した現車が販売店に届いているとのことで、私はさっそく見に行ってみた。ショールームに鎮座する新車のゼファーχ。しかし、細部のディテールをチェックしていくと、それまでのゼファーとは明らかに異なる仕様を発見する。220km/hフルスケールメーターとなっているだけではなく、タコメーターとの間に“ER-5″のエンブレムがあしらわれていたのだ。はたして、一部の車両のみなのか、それとも組み立てラインのミスか?
ER-5とは、EX-5の流れをくんだ水冷DOHC4バルブ並列2気筒エンジンを搭載する輸出専用モデルで、主に欧州向けのミドルコミューターとして開発されたモデルである。スタイリングは、国内モデルのバリオスⅡそのもの。テールカウルのデザインおよびグラブバーの有無、ステッププレートデザイン、リヤブレーキが異なる。欧州では大変人気を博した車両とのことで、06年までラインナップされていた。
カワサキは世界の仕向け地に、現地が求めるさまざまな仕様のバイクを供給しているわけだが、インターネットの普及した現代においても、国内では知り得ない情報がある。後日談になるが、ER-5のメーターが装着されていたバイクは、間違いなくゼファーχであり、ゼファー500でも国内向けER-5でもなかった。
KAZU 中西
1967年4月2日生まれ。モータージャーナリスト。二輪雑誌での執筆やインプレッション、イベントでのMC、ラジオのDJなど多彩な分野で活躍。アフターパーツメーカーの開発にも携わる。その一方、二輪安全運転推進委員会指導員として、安全運転の啓蒙活動を実施。静岡県の伊豆スカイラインにおける二輪事故に起因する重大事故を撲滅するための活動“伊豆スカイラインライダー事故ゼロ作戦"の隊長を務める。過去から現在まで非常に多くの車両を所有し、カワサキ車ではGPZ900R、ZZR1100、ゼファーをはじめ、数十台を乗り継ぎ、現在はZ750D1に乗る。
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