扱いやすいバイクを作りあげることもカスタムにおいては重要な要素である。バイクの乗りやすさを追求して開発されたT-REVは、大がかりなカスタムや多額のコストを必要としない魔法のパーツといえよう
ギクシャク感と強烈なエンブレを一発で解消してくれる
低回転時におけるエンジンのドンツキや、急激なエンジンブレーキなどでヒヤリとした経験を持つ人も多いと思う。ヒヤリとしただけならまだしも、場合によっては転倒してしまうケースだって決して珍しくはない。このような現象はピストンの上下運動によりクランクケース内に溜まったブローバイガスが原因である。高圧のブローバイガスはエンジンブレーキとして作用しているのだが、それは同時にピストンの上下運動を阻害しているということでもあり、先に述べた走行時における不安定要素の原因となっているのだ。
このT-REVはクランクケースからエアクリーナーボックスへとつながるブローバイホースに装着するパーツで、ホースの途中でワンウェイバルブとして作用するため、高圧のブローバイガスをエアクリーナー内に放出しつつ、クランクケースに負圧が発生しても外気をシャットアウトしてくれるのだ。そのためクランクケース内の圧力は適正に保たれ、低速時のドンツキや極端なエンジンブレーキを軽減してくれるのである。また、ポンピングロスの軽減によりエンジンの回転上昇はスムーズになり、燃費の向上にも寄与してくれる。ワンウェイバルブを3枚のリードバルブで構成することで、クランクケース内の圧力を分散し、よりスムーズな作動性を求めつつ、内部にスパイラルラインをほどこすことでガスの流速をも高めている。
開発者の寺本幸司氏は現役レーサーとしての顔も持っていて、このT-REVも実際のレースの現場で構想、開発したものだ。もともとはレース専用のパーツとして構想していたというが、発進や停止、Uターンといった操作が何度も繰り返されるストリートでは、そのメリットがさらに得られると考え、より幅広いラインナップへの装着を見据えた開発を行なっている。これまで各地の部品量販店で体験イベントを積極的に開催し、数多くのモデルにT-REVを装着してきたのだが、とくにカワサキ車では絶大な効果が得られたという。
「たとえばZRX1100、1200、そしてダエグではかなりの効果が得られました。体験したユーザーの方は皆一様に驚かれますし、負圧計で計測した数値も他メーカーのモデルに比べていい結果が出ています」(寺本氏)
T-REVは決してパワーアップを目指したパーツではない。だが、装着によりあなたの愛車はさらに乗りやすいバイクへと変化し、これまで以上に走ることが楽しくなるであろう。