最後発モデルとして機能を徹底的に追求する
操作系のパーツのなかでも、とくにブレーキやクラッチマスターは、バイクをコントロールする要となるパーツだ。プロ・アマを問わず、カスタムマシンのほとんどがマスターを交換しており、いまや定番中の定番ともいえるカスタムパーツとなっている。
“ゲイルスピード”ブランドの企画、開発を行なうアクティブは、カスタムホイールに続く同ブランド第二弾の製品としてブレーキ・クラッチマスターシリンダーをリリースした。いずれもラジアルポンプ方式で“VRC”と“RM”の2種類をラインナップしている。
上位機種として位置付けられるVRCは、バリアブル・レシオ・コントロールの略語で、その言葉どおりレバーのノッカーを介してレバーのレシオを変更することができるマスターとなっている。その変更幅は0・25mm刻みで、最大2mm幅となっており、組み合わせられるキャリパーやライダーの好みに応じて細かな変更を行なうことが可能。ピストン径はφ19mmとφ16mmの2種類で、支点から作用点の調整幅を17mmと19mmの二種類設定している。なお、VRCはレバーのレシオを変更することができるので、この数値は変更幅の中間を表している。つまりVRC19mmを使用する場合、18mmから20mmまでの間で0・25mm刻みでレシオの変更ができるということになるのだ。もう一つのタイプであるRMはシンプルなダイレクト構造を採用したタイプで、VRCよりもリーズナブルな価格設定。こちらもピストン径はφ19mmとφ16mmで、支点から作用点19mmと17mmとなっている。
どちらのタイプも鍛造で製作されているので、そのボディはスリムながらも高剛性な仕様。また、フィッティングは支点を設けたクイックリリース方式を採用しており、装着やメンテナンス作業にも配慮した。純正のリザーブタンクでも使用できるように、タンクのニップルは2種類が同包されている。レバーは転倒時に受ける衝撃を逃がす可倒式となっていて、ブレーキレバーはパワーレバー形状を採用。クラッチレバーはストレートレバーとしており、レバーを握りきった際にレバーがスイッチボックスに干渉するリスクを避けるなど、同社がレースサポートでつちかったデータがフィードバックされた形状となっているのだ。
約30万回ものストロークテストにより実証された耐久性、さらに整備性の面で最適とされる場所に位置するニップル類など、マスターシリンダーの最後発モデルとして可能なまでに性能を突き詰めたのが、このゲイルスピード・ラジアルマスターシリンダーなのである。同ブランドは、今後キャリパーなどの開発も行なっていくそうで、最終的にはブレーキシステム全体のパーツを展開していく予定だという。