クラシカルなデザインに現代のクラフトマンシップ。Z900RSの持つコンセプトをSP忠男が進化させた。研鑽してきたパワーボックスの技術が、怖いほどマッチした
ライダーだからこそ、わがままな性能を実現
心地いいサウンドを奏でるパワーボックスフル4-1。アイドリング状態からクラッチをつないでいく。予想よりも大きくスッと押し出される。スロットルをひねれば、フラットで野太いトルクが車体を加速させていく。中間回転域も実にスムーズで、交差点の右左折に楽しみを与えてくれるほどだ。
シフトアップのタイミングは思いのまま。回転数の低めでも、高回転まで引っぱっても、余裕を持ってこたえてくれる。3000rpmという低回転域から本領を発揮するので、必要に迫られるシフトチェンジは少なくなる。非常に広いパワーバンドが安心を与え、ライディングをサポートしてくれる。ライディングを安心して、気持ちよく楽しめる。これこそがSP忠男の企業ポリシーであり、ライダーをひき付ける魅力だ。
Z900RSの持つクラシカルなデザインを引き立てるべく、ストレート管フォルムの4-1の集合方式。しかも機械曲げながら、緩やかな美しい曲線を描いている。全長も短めで、車両の持つコンセプトを理解したデザインだ。しかし、これらの条件は、高い性能と扱いやすさにはマイナス要素。それでも全回転域のフラットなトルク&パワーを確保できているのは、パワーボックスと呼ばれる膨張室にある。そのボックスは、目立たないようにと位置にもこだわった自慢のフォルムに仕上がった。
これらすべての性能の根幹となるのが公道での走行テストだ。公道走行で“楽しく”“気持ちよく”走るために必要な性能を探り、確認していく。色合いも含めたデザインも、休憩やテスト後の駐車時にチェックする。だからこそ、街中を走っていてもツーリングに行っても楽しく気持ちよく、カッコいい走りが手に入る。
もっと手軽に性能の違いを味わいたいユーザーへ向けて、スリップオンのパワーボックス×メガホンも用意。フルエキゾーストとは違うが、クラッチをつなげば“違い”を感じられるはずだ。ライダーのわがままを最大限実現したラインナップだ。
館岡 重光
オートバイ関連を中心に、ライター兼カメラマン兼エディター兼MCとして活動中