突き詰められた機能が美しさを演出
09年、二輪に精通したスタッフにより二輪部門が立ち上がり、本格的にバイク用ホイールを扱うようになったO・Zレーシング。新参者ながら、10年も09年に引き続きスーパーバイク世界選手権でBMWチームが採用し、さらに今年から始まったMotoGPのMoto2クラスでは、カタールで優勝した富沢選手をようするスッターチームをはじめ数多くのチームが装着している。この事実が証明するのは、同社製品の高いパフォーマンスと推測できる。そこで、特徴を日本総輸入元のノーブレストにて代表を務める中村氏にうかがった。
「O・Zモーターバイク社の代表を務めるジュリオ・アルゼンツィアーノは〝鍛造ホイールは割れてはダメだ。とにかく強くなければならない。そしてライトウェイトでなければならない〟と力説しています。ところが、この主張には二律背反する要素が含まれています。強いのに軽くするのは非常に難しい。軽くするならば、スポークをどんどん細くして、ハブも小さくすればいいんですが、それにともなって強度はどんどん犠牲になっていきます。そんな相反する2点を同時に追求しているのが、O・Zレーシング最大の特徴といえるでしょう」
「現在もっとも強度があるといわれる回転方向と逆向きコの字型形状のスポークを採用することで、それら難題をクリアしています。ただし、この形状を実現するには、特殊な刃物を用いて加工に時間をかけなければならないため、かなりコストはかかっています。
アルミ鍛造が5本スポークなのに対し、マグネシウム鍛造は6本と形状が異なるのは、単なるデザインではありません。機能を優先し、そのうえで素材の違いを考慮した結果、たどり着いたデザインなのです。まさに機能美にあふれたホイールといえるのです」
経験豊富なプロフェッショナルが、そのすべてを注ぎ込んで妥協なく作り上げたホイール。それがO・Zレーシングの魅力で、その実力はすでに世界のトップレンジで証明されている。