ミシュランの新しいタイヤ、パワーピュアが発表された。最大の特徴は、その軽量さ。従来の公道用ハイグリップタイヤにくらべ前後で約1kg軽量であり、これはホイール重量を約3kg軽量化するのと同等の効果が得られるというからおどろく。パワーピュアは、まさに新時代の軽量スポーツタイヤなのである
よりシャープな走りを味わえる軽量タイヤ
車体からもっとも離れた場所に存在し、高速で回転するタイヤ。このタイヤの重量が軽くなることで得られるものは大きい。まず、ばね下重量が軽くなることで、例えるなら“ドシンドシン”と動いていた足まわりが“スッスッ”と動くようになり、路面追従性が上がる。また回転質量が減ることで、コーナーで“オットット…”と振り回されていたジャイロ効果が減り、高いGがかかるような走りをしても、ゆっくりと走ったときにくらべ大きくハンドリングが変化するようなことは少なくなるだろう。つまり、自然なハンドリングを手にすることができる。これらのことは、ホイールを軽量化すれば得られることでも証明済みである。軽量な社外マグネシウム製ホイールやカーボン製ホイールが、非常に高価であっても重宝される理由でもある。
そして、ホイールよりもさらに外周に位置するタイヤが軽量化される、その意味はさらに大きいとミシュランはいう。同じ重量を軽くするにしても、タイヤの軽量化はホイールの軽量化にくらべて3倍の効果があるのだから、と。つまり、ライバルタイヤにくらべ前後で1kg軽いパワーピュアは、3kg軽いホイールを履かせたのと同じ効果が得られるというのだ。これは、まさに異次元ともいえるシャープなハンドリングを、すべてのライダーに体感させてくれるに違いない。
タイヤの軽量化における意義の大きさは、どのタイヤメーカーも十分に理解しているところだ。だが接地感と操縦性のバランス、そして耐久性を考えれば、大きく軽量化させることは困難であった。レース用タイヤのように、耐久性や取り扱いの難しさと引き換えにトレッドの厚みをペラペラにすれば圧倒的な軽量化を図ることはできる。しかしこれは、公道用タイヤにはとても採用できないのは明白である。そこでミシュランは、構造材に宇宙航空工学で使われるアラミド繊維を採用し内部構造をシンプルな構成とすること、そしてプロファイルやサイドウォール形状の見直しなどを徹底することで、全体的なタイヤバランスをくずさずに軽量化を実現したのである。ミシュランがLTT(ライト・タイヤ・テクノロジー)と呼ぶこの軽量化技術は、トレッドゴムの厚みを従来品とほぼ同等とすることからもわかるように、ロングライフを十分に確保しながらシャープなハンドリングを味わせてくれる、まさに一歩時代の先を行くタイヤ作りを可能にしたのだ。
実際、このパワーピュアを履いて走ったライダーに感想を聞けば「苦手なS字の切り返しでも、意識せずに車体がスッと曲がっていくので緊張しなくなりました。エイヤ!って曲げなくとも的確にラインを進んでくれるんです」「今までもとくにタイヤが重いと感じたことはありませんでしたが、パワーピュアで走ると軽い操作でコーナーを走り抜けていけることが多く、『ああ、今までは無意識にハンドルに力を入れて曲げていたんだなぁ…』と改めて感じさせられましたね」と、軽量化の恩恵を強く感じているようす。また『軽快なハンドリングと引き換えに、乗り心地や直進安定性の悪化を懸念していたが、ほとんど気にならなかった』という声も聞けたことも伝えておこう。
このように、パワーピュアは俊敏かつ自在なハンドリングをすべてのライダーに提供する、まさに新時代の軽量スポーツタイヤなのである。
POWER PURE サイズラインナップ
FRONT | 120/60 ZR17 |
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120/70 ZR17 | |
REAR | 160/60 ZR17 |
180/55 ZR17 | |
190/50 ZR17 | |
190/55 ZR17 |