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ヨシムラ

午前10時30分に開始予定のカワサキの記者会見に、筆者はおおよそ8分前に着いた。10時からは、カワサキブースの近くのBMWブースで記者会見があり、後に大挙して記者たちが流れ込んできたのだった

午前10時30分に開始予定のカワサキの記者会見に、筆者はおおよそ8分前に着いた。10時からは、カワサキブースの近くのBMWブースで記者会見があり、後に大挙して記者たちが流れ込んできたのだった

Text & Photos:Kiyoshi Nishimura
※ドイツジャーナリスト連盟(DJV)会員、写真家

9月30日にドイツ・ケルンで開催されたインターモト。そのプレスデーを取材してきた。世界最大規模となるバイクショーの目玉の一つは、文句なくニンジャH2Rだった。インターモト開催前からスペシャルウェブサイトで、一部ではあるがニンジャH2の情報が発信されており、プレス関係者もこのモデルに大きな関心を寄せていた。

そしてプレスデー、プレスは懇意のメーカーの垣根を越えて集まり、午前10時半から始まったカワサキの記者会見は超満員だった。ドイツの雄たるBMWの記者会見がすぐ近くのブースで10時から開催されていたのにもかかわらず、そちらが終了しないうちにプレスはカワサキのブースに移動し、場所を確保して臨んだ記者会見であった。カワサキの記者会見の最初には、モデルチェンジしたヴェルシス650/1000がアンベールされた。しかしプレスの多くは心の中で「おいおい、今日はニンジャH2だろう、一秒でも早くニンジャH2のシートをめくってくれ〜」と考えていたことだろう。そしてそれは、ニンジャH2Rというモデル名で、ついに我々の目の前で世界初公開された。

会見のなかで最初に出た質問は「ライトもミラーもないが、これはプロトタイプですか?」であった。この質問に対し、すぐにカワサキの関係者らしきドイツ人が「これはレースバージョンで公道は走れません」と答え(アナウンスはされなかったが、どのレースに照準を合わせているのか非常に気になるところだ)、とっさに「では公道バージョンは何馬力なの?」の声が上がる。すぐさま「公道バージョンは保安部品を付けたタイプで、工場出荷で200馬力以上の予定です。また、“最強”とは今の時代は最高速の数値を指すものではなく、時速300kmまでイチバンという意味で最強なのです」の声が聞こえた。しかし、広いブースが狭く感じられるほどの超満員だったため、誰が受け答えをしているのか「声聞こえど、姿見えず」な状況に身を置いていた。こんな大熱気な会見は、筆者的にはマイクロソフト社の元最高責任者ビルゲイツが、ドイツのIT見本市に来た時以来で、インターモトでは記憶にない。逆を言えば、それだけセンセーショナルなことだったといえるだろう。

会見後になんとか人垣をかき分け前に出て、100枚は撮っただろうニンジャ H2Rは、ほんの50cmの目前にあった。このバイクは、肉厚のクロモリ鋼であろうパイプを使ったトレリスフレームを採用している。公道で200馬力超え、レース用では300馬力であろうと、硬いだけのフレームではこの領域のマシンは安全にはまっすぐ走れないし、公道で自在に曲がることもかなわないから、カワサキの英断だったことがうかがい知れる。つまり、ガチガチでない、しなるフレームを採用してきたのだ。ここ10年以上カワサキは、グループ内の重工業用の技術を使える環境を社内で整えているので、シミュレーションは完璧に違いない。次に発表されるニンジャH2は他の全メーカーが追わねばならぬターゲットとなるバイクだといえよう。スズキ・GSX1300Rハヤブサが登場したときのように、一時的に先を行かれることはあるかもしれないが、いつも最後には勝つ。そんなカワサキは我々に勇気と希望を与え続けてくれている。

2013年スーパーバイク世界選手権チャンピオンのトム・サイクス。カワサキのトップライダーとして2014年も大活躍中。当日の彼はニンジャH2Rのことについて「市販バイクの中で最速」の太鼓判を押していた

2013年スーパーバイク世界選手権チャンピオンのトム・サイクス。カワサキのトップライダーとして2014年も大活躍中。当日の彼はニンジャH2Rのことについて「市販バイクの中で最速」の太鼓判を押していた

確かにヴェルシスシリーズもいいバイクだが、会場を埋め尽くした記者たちの想いはニンジャH2にしぼられていた。スモークにちょっとむせびながらも、キャンギャルたちも気にはなるし、我々は大きなジレンマにおちいっていた

確かにヴェルシスシリーズもいいバイクだが、会場を埋め尽くした記者たちの想いはニンジャH2にしぼられていた。スモークにちょっとむせびながらも、キャンギャルたちも気にはなるし、我々は大きなジレンマにおちいっていた

2006年に欧州市場に投入され、後に1,000ccバージョンも出て、ドイツでは販売台数でつねにトップ10に入る健闘ぶりを見せるヴェルシスシリーズ。今回は650と1000ともに統一を図ったようなデザイン変更がなされた。こちらはニンジャ650

2006年に欧州市場に投入され、後に1,000ccバージョンも出て、ドイツでは販売台数でつねにトップ10に入る健闘ぶりを見せるヴェルシスシリーズ。今回は650と1000ともに統一を図ったようなデザイン変更がなされた。こちらはニンジャ650

さあ、真打の登場だ。目の前にできた6重ほどの垣根の後ろから思いっ切り腕を上に伸ばして取った写真がコレ。直前のBMWの記者会見では3重くらいの垣根の後ろで写真が撮れていたので、久しぶりに運動になった(笑)

さあ、真打の登場だ。目の前にできた6重ほどの垣根の後ろから思いっ切り腕を上に伸ばして取った写真がコレ。直前のBMWの記者会見では3重くらいの垣根の後ろで写真が撮れていたので、久しぶりに運動になった(笑)

インターモトで発表されたのはクローズドコース専用のニンジャH2R。カーボンと鉄のフレームを身にまとったその姿は、黒装束の忍者のようで、りりしい印象を与えていた。「コイツが300馬力か」の深い感慨をみんなにもたらしたはず

インターモトで発表されたのはクローズドコース専用のニンジャH2R。カーボンと鉄のフレームを身にまとったその姿は、黒装束の忍者のようで、りりしい印象を与えていた。「コイツが300馬力か」の深い感慨をみんなにもたらしたはず



※動画は筆者が撮影したものではありません




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