ヨシムラ
2003年に発売されたZ1000は、それまで日本のネイキッドで一般的とされていたクラシカルなイメージを一新した。走行性能に特化したメカニズムと、前衛的なスタイルが採用され、それまでなかった『スーパーネイキッド』というカテゴリーを作り上げたモデルである。
そのZ1000が2014年モデルで、車体からエンジン、デザインまで、大きくモデルチェンジしたのは先日お伝えしたとおり。4代目となる2014年モデルのZ1000は、前モデル以上に走りに特化した性能を予感させ、且つより前衛的なスタイルへと変貌を遂げている。
見る者、触れる者に畏怖と畏敬の念を抱かせる、“Sugomi Design”
今回の変更における大きなポイントは2つあると考えられる。その1つがスタイリングだ。前モデルの特徴だった直線と鋭角を活かしたデザインから、流線形を基調とし、且つエッジの利いたスタイリングへと変更された。よりフロントは低く、そしてリヤが高いアグレッシブな姿勢は、獲物を狙う猛獣が持つ“凄み”を具現化したものである。
スタイリングの変更点の具体例から挙げてみる。まずはヘッドライトまわり。LEDライトを新採用することによって、ヘッドライト自体はかなりコンパクト化されている。その結果、フロントまわりのデザインの自由度が増え、メリハリがありかつてないほどの印象的な顔つきへと生まれ変わった。
ガソリンタンクは高さが増し、凹凸がなだらかなデザインへと変更されている。容量そのものも2Lアップしているほか、表面にうっすらと刻まれたキャラクターラインによって、ボリューム感がアップしている。シュラウドとアンダーカウルは小型化され、ここでも曲線とエッジを活かしたデザインが採用されている。
さらに、シートカウルはより高く跳ね上がるスタイルとなり、ここでも表面にキャラクターラインを施すことで、ボリューム感を出しつつシャープな印象に仕上げている。
全体としては、よりメリハリが強調されたスタイリングにまとまっており、フロント側にはボリューム感が出されて、リヤカウル側はさらにすっきりとした印象となった。
スタイリングだけじゃない、“凄み”の効いたエンジンパフォーマンス
次に今回のモデルチェンジを語るうえで重要な2つ目のポイント、それがスーパーネイキッドとしてよりブラッシュアップされた運動性能である。
エンジンは新設計となり、セッティングを見直すことで、最高出力および最大トルクが向上した。スロットルレスポンスの改良やギヤ比が変更されたことで、ライダーはよりダイレクトなマシン操作で積極的なライディングを楽しむことが可能となったに違いない。
また、運動性能に関わる部分の大きな変更点としては、SFF-BP(セパレート・ファンクション・フォーク─ビッグ・ピストン)の採用が挙げられる。これは2013年モデルのNinja ZX-6Rにも採用されているフロントフォークで、セッティングのしやすさと高い作動性がうまく両立させているという特徴を持つ。
足まわりには、フロントにラジアルポンプマスターシリンダーを備え、キャリパーはトキコ製異径4ポッドモノブロックタイプをラジアルマウントしている。これらのことから、Z1000は現代のスーパースポーツに匹敵するパーツを備えたネイキッドであるということは間違いない。他にも、出力およびトルクのアップや二次減速比の変更など、加速感アップにつながる変更が多数行なわれているほか、官能的な吸気音を実現させるため、エアボックスにまで独自の仕掛けがほどこされている。
ライダーの“エキサイトメント”を限りなく追及
Z1000の変更点は多岐に渡る。たとえば、後方へ尖がった形状のタンデムシートは、性能およびデザインのためなら快適性を捨てるといったZ1000の割り切りが見て取れる部分といえるだろう。また、細部まで丁寧な作り込みがほどこされたミラーなど、新設計のパーツはどれをとっても前衛的である。
メーターは、上下2つに分かれたデジタルタイプを採用。下部のデジタルディスプレイにスピードやオド/トリップなど各種情報が表示され、上部にはバーグラフで表示されるタコメーターと各種インジケーターが配置されている。このタコメーターは4,000回転までは下部液晶内で縦にバーグラフが伸びていき、4,000回転以上になると上部ディスプレイの左から右に伸びていくという、独特の表示方法を採用している。このように、至るところでライダーの感性を刺激する工夫がほどこされているのである。
また、全体のスタイリングを崩さずに防風効果を高めるスクリーンをはじめ、ネイキッドならではのオプションパーツも登場している。クラッチカバーとクランクカバー、およびエンジンカバーは、転倒時の損傷を最小限にしてくれるだけでなく、Z1000のデザインにうまく調和するよう設計されており、ドレスアップ効果も期待できる。またフォークスライダーはスリップダウン時にフォークが傷つくのを防いでくれることだろう。
エンジン、車体、デザインに至るまですべてが刺激的なニューZ1000。先代から継承する、走るよろこびやマシンとの一体感はそのままに、よりスーパーネイキッドとしての高みを極める1台に仕上がっている。
2014年モデル Z1000 (ZR1000FEF)※欧州一般仕様
2014年モデル Z1000 Special Edition (ZR1000FEFA)※欧州一般仕様
2014年モデル Z1000 ABS (ZR1000GEF)※欧州一般仕様
2014年モデル Z1000 ABS Special Edition (ZR1000GEFA)※欧州一般仕様
オフィシャルビデオ
スペック一覧
全長×全幅×全高 | 2,045×790×1,055(mm) | |
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軸間距離 | 1,435mm | |
最低地上高 | 125mm | |
シート高 | 815mm | |
ホイールトラベル | (F)120mm (R)122mm | |
キャスター/トレール | 24.5°/101mm | |
ハンドル切れ角(左/右) | 29°/29° | |
Fサスペンション | 倒立・テレスコピック(41mm) | |
Fブレーキ | デュアルディスク 外径310mm(セミフローティング/ペタルディスク)、キャリパー:デュアルラジアルマウント、モノブロック、対校ポッド | |
Rサスペンション | ホリゾンタルバックリンク | |
Rブレーキ | シングルディスク 外径250mm(ペタルディスク)、キャリパー:シングルピストン | |
車両重量 | 220kg 221kg(ABS/ABS Special Edition) |
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エンジン | 水冷4ストローク並列4気筒 DOHC4バルブ・1,043cm3 | |
ボア×ストローク | 77.0×56.0(mm) | |
圧縮比 | 11.8 | |
最高出力 | 104.5kW(142ps)/10,000rpm (EUR/USA/CAN/AUS/BRA/IDN/MYS/PHL) 100.9kW(137ps)/9,800rpm (S.E. Asia (B2)/S.E. Asia (B1)/THA) 78.2kW(106ps)/9,000rpm(FRA) |
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最大トルク | 111N・m(11.3kgf・m)/7,300rpm (EUR/USA/CAN/AUS/BRA/IDN/MYS/PHL) 109N・m(11.1kgf・m)/7,300rpm (S.E. Asia (B2)/S.E. Asia (B1)/THA) 95N・m(9.7kgf・m)/6,000rpm(FRA) |
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トランスミッション型式 | 常噛6段リターン | |
一次減速比 | 1.627(83/51) | |
ギヤレシオ | 1速 | 2.600(39/15) |
2速 | 1.950(39/20) | |
3速 | 1.600(24/15) | |
4速 | 1.389(25/18) | |
5速 | 1.238(26/21) | |
6速 | 1.107(31/28) | |
二次減速比 | 2.867(43/15) | |
燃料タンク容量 | 17L | |
タイヤサイズ | (F)120/70ZR17M/C (58W) (R)190/50ZR17M/C (73W) |