ヨシムラ
2022年シーズンのスーパーバイク世界選手権は幕を閉じたばかりだが、カワサキレーシングチーム(KRT)は2023年シーズンに向けて早くも動き出している。KRTに所属するジョナサン・レイ選手とアレックス・ロウズ選手は12月2日(金)、来シーズンの重要な準備のため、Ninja ZX-10RRでコースに登場した。
全長4.423kmのヘレス・サーキットで2日間にわたって行なわれる予定だったテストは、雨天が続いたため金曜日の午後に半日で実施された。ほぼドライのコースで、レイ選手とロウズ選手は2022年のレースシーズン終了からわずか数日後、さまざまなテスト項目をこなした。
金曜日の午後はダンプだがドライの路面で、ロウズ選手が最初にコースイン。冬のテスト用カラーをまとった2台のマシンを乗り継いで、午後の忙しいセッションで両名とも50ラップを記録した。
50ラップ中39ラップ目にレイ選手は1分39秒911をマーク。ロウズ選手は完璧とはいえない路面コンディションにもかかわらず、1分40秒342のベストラップタイムを記録している。
なお、2013年のスーパーバイク世界選手権チャンピオンに輝いたトム・サイクス選手は、BSBからKawasaki Puccetti Racingに移籍しており、今回のテストにも参加した。サイクス選手は午後のドライコンディションでの最終セッションのみ走行したが、ベストラップは1分40秒949で、この日最速だったレイ選手と1秒強の差となっていた。
KRTライダーの次のテストは、2023年1月下旬、再びヘレスで行なわれる予定だ。
ジョナサン・レイ選手はこのテストを次のように総括している。
「このテストは来年をよい形でスタートさせるため、オフシーズンに向けていくつかの”ハード”パーツを決定する必要があったので、非常に有意義なものでした。この重要な項目のうち、3つか4つにイエスかノーを突きつけただけでした。2023年のマシンに乗るのはいいことです。とくにエレクトロニクス面ではまだ初期段階の作業なので、改善しなければならない部分もあります。でも一歩一歩、パッケージを組み立てていくんです。今日のコースはまだダンプパッチが残っていて、決して完璧な状態ではなかったのですが、いくつかの決断を下すことができました。これで健康でハッピーなオフシーズンに突入できてうれしいてせすね。これから数週間の休暇を楽しみにしています」
アレックス・ロウズ選手は次のように語っている。
「今回のテストは天候に翻弄されましたが、マシンのフィーリングはよかったですよ。スタートしたときはまだ路面がかなり湿っていたのですが、この時間を利用して総合的なパフォーマンス以外のことも試してみました。2023年に向けての新しいアイデアもあったので、それから数時間、新しいパーツを”バック・トゥ・バック”でテストしました。多くの周回を重ねることができたので、2023年1月末のテストに向けていいステップになるよう、多くの情報を得ることができました」
ジョナサン・レイ選手のクルーチーフ、ペレ・リバは次のように述べている。
「木曜日は一日中雨が降っていたし、今日(金曜日)は乾くのに時間がかかったので4時間しか走れなかったのですが、テストはうまくいったと思います。冬の間に開発しなければならないので、いくつかテストしてライダーからフィードバックを得なければならないことがありました。そしてようやく、その情報を収集することができました。ジョニーは速いし、僕たちはリヤにピレリ・SC0というハードなオプションのタイヤしか使っていません。ラップタイムも安定していたし、必要な情報はすべて収集できました。今はただ、来年を楽しみにしています」
アレックス・ロウズ選手のクルーチーフ、マルセル・デュインカーは次のように語っている。
「この半日のテストでは、来年に向けて改善すべきいくつかの主要な項目を試すことができました。この半日のテストの後、ほとんどの項目について明確な意見が出たので、1月のテストに向けて改善を続けていくことができます。わずか数時間でこのような成果を上げることができたので、非常に満足していますよ。2022年最終戦のフィリップアイランドでのセットアップから1クリックも触らず、アレックスはすぐに速くなり、さらに安定した走りを見せてくれました。このテスト結果には非常に満足しています。これで年末年始を笑顔で過ごすことができます」