2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

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ヨシムラ

11月19日、20日にオーストラリアのフィリップアイランド・サーキットで開催された2022年スーパーバイク世界選手権第12戦。2022年シーズンの最終戦初日となる18日(金)のフリープラクティスから、カワサキレーシングチーム(KRT)のジョナサン・レイ選手とアレックス・ロウズ選手の両ライダーは序盤から好調なラップタイムを記録。4.445kmのサーキットで行なわれた2回のフリープラクティスで、レイ選手は最速、ロウズ選手は3番手となった。

その好調を維持したまま19日(土)を迎えたKRTだったか、この日はあいにく雨が降ったり止んだりといったコンディション。ただ、スーパーポール予選でもレイ選手は2位、ロウズ選手は3位に入り、KRTライダー両名はフロントローでレース1がスタート。スタート直後の路面はフルウエットの状態だったが、路面が乾いて太陽が顔を出すと、一人ずつピットレーンに入り、スリックタイヤを装着することになった。

2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

5月以来、優勝していないレイ選手だったが、スリックタイヤを装着して湿った路面に挑み、冷静な判断でハイペースな周回を重ねる。ウェットコンディションでは5周にわたってレースをリードし、終盤のドライコンディションでも力強い走りを見せた。2位のラズガトリオグル選手は全力でレイ選手をプッシュしたが、レイ選手はうまくレースをコントロールし、ライバルに6秒の差をつけて優勝を飾っている。

ロウズ選手は他のライダーよりも長い時間レインタイヤを履いていたが、総合的なペースと、ピットレーンでの技術スタッフによる作業が功を奏して3位に入賞。今季3度目の表彰台を獲得した。

レイ選手は土曜日のレース展開を以下のように振り返る。

2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

「今日は何が起こるかわからないとわかっていたので、あらゆることをカバーできるように計画を立てていました。ただ、ウエットコンディションでは、最初のうちはいつもの自分らしさが出せませんでした。それでも第1コーナー進入のブレーキングでトプラックをパスすることができたので、そのまま持ち直すことができましたが、そのあと少し芝生をトラッキングしてしまいましたね。そこから何とか上位陣に追いつくと、これから路面が乾いてくるのでタイヤを無駄にしないよう、ゆっくりと走るように自分に言い聞かせました。アレックスがとてもいいペースで追い上げてきたので、その時点で『よし、ピットへ行こう』と決めました。リスキーな行動だとは思いませんでしたけど、おそらく1周早く入ることができたはずです。ストレートでチームに合図を送り、ピットレーンに入ることを約束しました。再合流後はピットボードに向かって走るだけでした。今日は本当にチームの勝利です。ピットストップを完璧にこなし、1秒のロスもなかったと思います。彼らは本当にスムーズに仕事をこなし、私と同じようにこの勝利の一部となっていますよ」

ロウズ選手も3位に入ったレース展開を次のように振り返った。

2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

「奇妙なレースでしたが、ウエットでもドライでも速いライダーの一人だったと思います。ピットストップのタイミングが悪かったのかもしれないですが、ウエットでもドライでも速かったし、表彰台に上れたことはうれしいですね。これからも上位でバトルを展開し、自分の速さを見せたいと思います。自分が速く走れることはわかっていますし、レースも楽しめました。途中でピットストップをしたときは、いつも不思議な感じがします。明日はまた天候が変わりそうですが、いい仕事ができると思うので、今夜はぐっすり眠って、明日は力強く1年を終えられるようにしたいですね」

明けて21日。この日も天候が刻々と変化するなか、KRTチームは10周のスーパーポールレースとフルディスタンスのレース2で、ウエットながらも急速に乾くという難題に直面した。

まず開催されたスプリントレースのスーパーポールレースだが、レイ選手はラズガトリオグル選手とのトップ争いを続けていたものの、路面が乾き始めるとスリックタイヤを選択していたバウティスタ選手がドライのラインで先行。そのままバウティスタ選手が優勝をはたしている。レイ選手はラズガトリオグル選手からわずか0.043秒差で3位となった。ロウズ選手は4位となっている。

2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

レース2は当初5周にわたってレイ選手がリードしたものの、バウティスタ選手に追い抜かれ、レイ選手は終盤で勝負に出る展開が予想されていた。しかし2名のライダーが転倒したことで赤旗が提示。結局22周のレースは5周短縮され、17周のレースとなりレイ選手は2位で終了した。

ロウズ選手も好調を維持し、15周目にラズガトリオグル選手をパスして3位に上がったものの、そのまま赤旗により3位でレースを終えている。

2022年スーパーバイク世界選手権第12戦オーストラリア大会

第12戦の結果、シーズンランキングでレイ選手は通算502ポイントを獲得。ただしラズガトリオグル選手が529ポイントとなったことでシーズンランキングでは3位という結果となっている。ロウズ選手は通算272ポイントで6位という結果を残すことになった。

本戦で2022年シーズンのスーパーバイク世界選手権は終了した。この後、冬季テストが行なわれた後、2023年2月の最終週末に再びフィリップアイランドにチームは集結し、2023年シーズンの開幕戦が行なわれる予定となっている。

日曜日の日程を終えたKRTライダー両名のコメントは以下のとおりだ。

ジョナサン・レイ選手

「レース2では安定性、トラクション、サイドグリップ、そしてコーナーでの加速などマシンのセットアップがうまくいったので、この結果には残念な気持ちと嬉しい気持ちが入り混じっています。それだけに第4セクターで大きく遅れてしまったのが悔やまれます。その後、そのカバーをしようとリスクを冒し過ぎてタイヤを消耗してしまいました。それでもタイヤの性能が落ちなかったのだから、ピレリに感謝したいですね。フィリップアイランドでは、もっと固いタイヤを使ったほうがいいかもしれません。レースは少し遅くなるかもしれないですが、最後まで1分31秒台のラップタイムをキープできたことは本当によかったです。今シーズンの我々の努力には、本当に満足しなければならないと思っています。もちろん、その過程でいくつかミスもありましたが、最終的な結果は、我々がどの立ち位置にいるのかを示すハイライトだと思います。しかし、その一方で、昨年チャンピオンになったトプラックとは、シーズン終了時点で25ポイント程度の差があったと思います。今年は上位で戦うための新たな武器ができたので、できる限りのことをしなければならないですね。チームは素晴らしい。厳しい状況のなかでも、チームの強さを見せてくれました」

アレックス・ロウズ選手

「このコースではマシンが安定しているので、いつもうまくいっています。レース2ではジョナサンとアルヴァロには追いつけないとわかってから、左側のタイヤをケアするためにラップタイムを0.5秒くらい落としたんですよ。それがなければレース終盤には必ず”トドメ”を刺されると思っていました。彼らのマシンは滑っていたし、少し不安定でしたが、最終ラップのバトルになることは間違いなかったですね。今年は彼らとあまりいいバトルができていなかったので、楽しみにしていたんです。コースや天候に左右されることなく、彼らとレースで競い合えるのは素晴らしいこと。だから私にとっては、パワフルなシーズンの締めくくりとなりました」

問い合わせカワサキモータースジャパンお客様相談室
電話番号0120-400819 ※月〜金曜 9:00〜12:00、13:00〜17:00(祝日、当社休日を除く)
URLhttps://www.kawasaki-motors.com/mc/



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