ヨシムラ
2022年10月22日、23日の週末に開催された2022年スーパーバイク世界選手権第10戦アルゼンチン大会。カワサキレーシングチーム(KRT)のジョナサン・レイ選手はレース1、スーパーポールレース、レース2それぞれで2位、3位、3位、アレックス・ロウズ選手は6位、5位、4位という結果を残した。
10月21日(金)、アルゼンチンの強い日差しのもと、2022年シーズン最初の『フライアウェイ』レースウィークエンドがスタートした。レイ選手とロウズ選手は、あまり活発に使われていないとされていたサン・フアン・ビリカム・サーキットの路面が最初のセッションから良好なグリップを示したことに驚かされた。トップライダーたちは、フリープラクティス開始早々にファステストラップを記録した。ただ、FP1からFP2にかけて路面温度が10度ほど上昇したため、ベストタイムを更新するライダーもいれば、路面のグリップ特性の変化や風の強さを受けてタイムが伸びないライダーもいた。
レイ選手は午後の暑さと風の強さの中でFP2を最速で終え、金曜日の総合タイムで2番手となった。ロウズ選手FP2で総合4位となり、レースウィークを再びポジティブな形でスタートできたことに満足していたが、予選9位スタートとなった。
10月22日(土)、スーパーバイク世界選手権のレース1が開幕。21周で行なわれた決勝レースは気温も比較的高かったが、路面温度は50度以上というコンディションとなった。その1周目、レイ選手とタイトル争いのライバルであるトプラック・ラズガトリオグル選手が第9コーナーで転倒。ラズガトリオグル選手は再スタートしたが、最終的には15位でゴールし、1ポイントを獲得している。
後続が順位を回復するなか、レイ選手は1周だけトップに立ったが、その後バッサーニ選手にパスされ、6周にわたってバッサーニ選手を追う形となった。さらにバウティスタ選手がレイ選手とバッサーニ選手をパスし、最終的にはバウティスタ選手が最後までそのポジションを守りきって優勝を飾っている。
レイ選手はレースのほとんどでバッサーニと激しいバトルを繰り広げ、3位をキープしていたが、残り3周となったところで仕掛け、2位でチェッカーを受けた。
ロウズ選手は予選9位が大きく影響した。1周目は8番手だったが、6周目には6番手までジャンプアップ。1周目は8番手、6周目には6番手まで浮上し、そのまま6位でチェッカーを受けることができた。
明けて23日(日)、この日も暑いコンディションのなかスーパーポールレースとレース2が開催された。
日曜日の午前中に10周で行なわれたスーパーポールレースでは、レイ選手が一時トップに立ったが、ターン1への下り坂のブレーキングでニュートラル不良を起こし、大きくはらんで3位となった。その後、レースで勝てる可能性を秘めたセッティングを活かすことができず、そのまま3位をキープした。またロウズ選手は3人のライダーが表彰台圏外のポジションを争った結果、5位に入っている。
21周で争われる第2レースは、土曜日のレース1よりもさらに気温が高いコンディションで行なわれた。レイ選手はスタートはよかったが、期待していたリヤグリップが得られず、表彰台を獲得するためには21周のレースで懸命の努力をしなければならなかった。とくに2周目にコースアウトして6番手まで後退したあと懸命の追い上げを見せた。その後、チームメイトのロウズ選手のスリップストリームに入り、残り4周でパスして再び表彰台を獲得した。レイ選手は結果、スーパーポール予選で2位、決勝で2位、3位、3位を獲得した。
ロウズ選手は今回、非常に好調だった。レース2ではバルセロナ大会スーパーポールレース以来の表彰台獲得を目指していたが、結果としては4位となり、バルセロナ以来となる表彰台を獲得した。
総合ポイントでは、レース2で優勝したアルヴァロ・バウティスタ選手が507、スーパーポールレース優勝のトプラック・ラズガトリオグル選手が425、レイ選手が409、リナルディ選手が260、ロウズ選手が217となり、総合優勝争いに加わっている。
前戦の段階ではバウティスタ選手とレイ選手とのポイント差は82だった。今戦で98ポイントと差が開いてしまい、シーズンチャンピオン争いは一層の厳しさを増してきたが、KRTライダーの活躍には期待したい。次戦は11月11日~13日、南米から東南アジアのインドネシアに飛び、同地のマンダリカで開催される。
日曜日の日程を終えたKRTライダー両名からのコメントは以下のとおりとなる。主に日曜日のレース内容となる点はご了解いただきたい。
ジョナサン・レイ選手
「スーパーポールレースでは、自分のペース、マシンのフィーリング、グリップなどが素晴らしく、信じられないようなレースでした。優勝をねらえると思っていたので、本当に悔しい結果です。あまり多くのチャンスはないので、これはチャンスだと思っていましたから。レース2は、スーパーポールレースで好感触を得たのでモチベーションが高かったのですが、スタート直後はグリップがゼロ。T2でコースアウトしたとき、バイクがいつものようにフックしないのがわかりました。レース中、ずっと助手席に乗っているような気分だったので、少し疲れてしまいました。T10に入るときもリヤからバイクを止めることができなかったので、それでレースが決まったようなものです。チャビ・ヴィエルジュと一緒になりましたが、どこにもパスすることができませんでした。リナルディもそうでしたが、アレックスが私を追い詰めてきました。アレックスについて行くためには、もっと深く掘り下げていかなければならなかったですね。マシンは好調なのに、リヤのトラクションがゼロというのは、今までに経験したことのないことで、悔しい思いをしています。でも、また表彰台に上れたし、ポイントもたくさん獲得できたので、ポジティブにとらえるしかないですね。タフなレースだったけど、またボックスの上に立つことができたのだから」
アレックス・ロウズ選手
「昨日のスーパーポール予選は残念でした。昨日は9番手からスタートして、ホンダ、BMW、ドゥカティに混じって走ることになりました。そのなかにいると、前に出て自分のペースを発揮するのはとても難しい。今日はスーパーポールレースに満足しています。何とか前に出て、最終ラップでイケルをパスすることができたので、とても楽しめました。レース2では、SCXのタイヤがここまで落ち込むとは思っていませんでした。最後の6、7周は、とくにT2でチャタリングが発生していました。レース中盤、ジョニーがそこに留まるのに苦労しているように感じたので、私も逃げようと思ったのですが、残念ながらまた4位になってしまいました。ただ、すべてのセッションを見て、すべてを考慮すれば、私はあの3人の表彰台の次に安定していると感じています。ここではいい走りができたので満足しなければならないし、次のインドネシアでは表彰台を目指したいですね」