ヨシムラ
長らくエヴァンゲリオンレーシングとのコラボチームとして鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦するトリックスター。今年8月7日(日)に開催された「“コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会」(以下、鈴鹿8耐)にも参戦した同チームが参戦結果を報告した。以下、基本的にはトリックスターの報告文をカワサキイチバン編集部が補筆・修正する形でその内容を紹介する。チームの状態やレースウィークの状況なども詳細に触れられているので、レースの裏側を知ることができる興味深い内容となっている
順調に予選までを迎えたトリックスターレーシングチーム
トリックスターの2022年鈴鹿8耐参戦チームであるEVA RT 01 Webike TRICKSTAR Kawasakiの参戦ライダーは、MotoE World CupやWSSなどで活躍し昨年からチームのエースとしてチームを引っ張っている大久保光選手に加え、鈴鹿サーキットで育ち、鈴鹿を知り尽くしている若手の佐野優人選手、さらに2015年から2017年の間トリックスターチームのエースとして戦い、2019年にはEWCのタイトルを獲得したエルワン・ニゴン選手の3名の布陣で鈴鹿8耐に挑むことになった。
6月、7月に行なわれた事前テストから大久保選手、佐野選手は好タイムを記録。レースウィークから参加したエルワン選手もレースウィークの火曜日、水曜日に行なわれたテスト走行で初めてチームのマシンに乗ると、すぐに2名の選手と遜色ないタイムを記録。予選決勝に向けて期待の持てる走りだしとなった。
そして8月5日の予選日を迎えるが、当日の天候は不安定な状況で、いつ雨が降ってもおかしくないなかで予選が行なわれた。予選では3名のライダーで7本のタイヤ制限があり、各ライダー2回の予選セッションがある。そのため、いつ新品タイヤを投入するかの判断がとても難しいうえ、今回は天候が不安定であるということで、タイムが出せるときに出すという作戦とし、予選1回目から3名のライダーに新品タイヤをフル投入するという作戦で予選を戦うことになった。
最初の予選はライダー大久保選手。混戦のなかコースインするが、1周目はコースが混雑していたため2分10秒台で周回。2周目から本格的にアタックに入り、チームのベストタイムを1秒以上更新する2分07秒602を記録。さらにもう1周アタックに入るが、他車に引っかかってしまいタイム更新ならず。そのまま1回目の予選を終了した。チームのエースとして最高の働きを見せ、チームの士気を大きく高めることになった。
次は佐野選手。計測1周目から自己ベストを更新する2分08秒769を記録し、2周目にはさらに0.3秒タイムを更新した。3周目にはさらに大きくタイムを上げ、大久保選手のタイムに迫る2分07秒675を記録して予選アタックを終えた。3人目のエルワン選手も若い2人のライダーの走りに触発され、やる気満々でコースインするものの雨が降り出してしまい、タイムアタックできないまま1回目の予選を終えてしまう。
1回目の予選は総合9位。しかし強豪チームである#1号車(Yoshimura SERT Motul)、#73号車(SDG Honda Racing)が転倒や降雨の影響でタイム計測ができていない状況であったため、決勝日のスターティンググリッドを最終決定するために予選タイム上位10チームで競われるトップ10トライアル進出に向けてまったく油断できない状況であった。
1回目の予選から約2時間後に行なわれた2回目の予選では、1回目の予選時の降雨の影響はなく、完全なドライコンディションでスタートした。大久保選手、佐野選手は1回目の予選で新品タイヤを使い切ってしまっていたためタイムアップできずに終了。残るは1回目の予選で降雨の影響で新品タイヤを残していたエルワン選手のタイムアタック。チームとしても2015年以来のトップ10トライアル進出に大きな期待がかかるなか、最後の予選はスタートした。しかし、タイムアタック1周目に1回目の予選時同様に雨が強く降り出してしまい、アタックできないまま予選を終える。1 回目の予選でしっかりとすべてを出し切ることができて好タイムを記録した大久保選手と佐野選手のタイムの合算によりトップ10トライアル進出は決定した。
8月6日はコースコンディション悪化に記録は伸びず10位を記録
8月6日のトップ10トライアルはチームとしては2015年以来7年ぶりの進出となった。走行するのは予選で2分07秒6を記録した大久保選手と佐野選手。2人とも初のトップ10トライアルで、前日からとても楽しみにしていたとのことだったが、不安定な天候の影響により、急きょ40分間の計時予選へと変更された。
まずは佐野選手からスタートをする。雨上がりの路面でウエットパッチがところどころ残っていたり、路面自体のグリップもよくなく、前日よりもコースコンディションが悪いため思うようにタイムが伸びない。それでもなんとかアジャストし、2分08秒136を記録して大久保選手にバトンをつなぐ。大久保選手も佐野選手同様にタイムが伸びず、2分08秒033でアタックを終えることになった。ここで残り時間は約15分。昨日の8月5日には1回もタイムアタックをすることなく予選を終えてしまったエルワン選手が、決勝を想定したセットアップの確認を兼ねて走行し、完全な予選仕様ではない状態で2分09秒027を記録した。この結果10位で翌日の決勝を迎えることとなった。(後編に続く)
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トリックスターかく戦えり。2022年鈴鹿8耐に参戦したEVA RT 01 Webike TRICKSTAR Kawasakiが参戦結果を報告-8月7日決勝日