ヨシムラ
スーパーバイク世界選手権に参戦するカワサキレーシングチーム(KRT)のレギュラーライダーであるジョナサン・レイ選手とアレックス・ロウズ選手は、鈴鹿サーキットで2日間のテストを行ない、8月初旬に開催される8時間レースに向けて耐久レース仕様のNinja ZX-10RRでの準備を行なった。
スーパーバイク世界選手権でチームメイトでありライバルでもある2人のKRTライダーと、KRT/プロベックの技術スタッフ、マネージメントスタッフが、日本にいるKMCのスタッフに加わり、鈴鹿サーキットでのレースに向けて協力し合うことになった。レースウイークエンドには30人以上がこのプロセスに参加することになる。
また、レオン・ハスラム選手もレイ選手、ロウズ選手とともに鈴鹿8耐に参加する予定だ。
今回のテストでは、集まったメンバーがお互いを知り、ピットでの作業効率を最大化するための新しい作業工程に磨きをかけるとともに、コース上でのマシンとライダーのポテンシャルを向上させる機会を得た。KRTライダー2人は、日本でもっとも大きなレースイベントで優勝するという共通の目標に向かって、新しいパートナーシップを楽しんでいる。
鈴鹿サーキットはピットボックスがあまり大きくないため、ホイール交換、給油、ロジスティックスなど、多くの計画と練習が必要となる。世界耐久選手権の世界では、ピットでの時間短縮は、少なくともコースでのタイムアップと同じくらい重要だからだ。
今回のテストでは、ヨーロッパからスタッフが来日し、フルウエットの路面からドライの路面まで、さまざまなコンディションでテストが行なわれている。1ヶ月後の本格的なレースに向けて、さまざまなコンディションを把握することができたとのことだ。
また、鈴鹿ではスーパーバイク世界選手権で使用されているピレリ製タイヤではなく、ブリヂストン製タイヤを使用。全体のセッティングを最適化するとともに、世界耐久選手権レギュレーションで求められる異なる技術パッケージにも慣れることができた。
レイ選手とロウズ選手は、それぞれ鈴鹿8時間レースでの優勝経験があるが、同じマシンでペアを組むのは今回が初めてとなる。また、ロウズ選手も鈴鹿8耐で初めてカワサキに乗ることになる。世界的なパンデミックにより、過去2回開催された鈴鹿8耐が中止となったため、路面やレイアウトに慣れることも重要な課題となった。
テスト後、KRTから出されたコメントは以下のとおりだ。
ジョナサン・レイ選手
「日本に帰ってきて、Ninja ZX-10RRで耐久レースができるのはうれしいですね。Ninja ZX-10RRはスーパーバイク世界選手権のマシンとは大きく異なり、とくにエレクトロニクス、フューエルマッピング、タイヤが異なります。初日はスピードを取り戻すのに少し苦労しました。でも一歩一歩、フィーリングはよくなっていきました。レースウイークエンドに向けて、この調子で頑張っていきたいですね。KRTチームが来てくれて、アレックスとガレージを共有できるのは本当にうれしい。すべてが穏やかで、誰もがお互いを知っていて、とてもいい雰囲気です。数週間後にまた鈴鹿に来て、ファンの皆さんにお会いし、レースの雰囲気を味わいたいと思っています。今シーズンの最大のチャレンジのひとつです。とくに今回のテストがよかったので、今からワクワクしていますよ」
アレックス・ロウズ選手
「日本に来られて本当によかったです。初めて緑のウエアで鈴鹿8耐に参加することができました。この2日間、今年のレースに向けてよい準備ができました。いつもはジョナサンと対戦しているので、一緒に仕事ができるのはうれしいですね。マシンのセットアップを改善するために一緒に仕事ができて、チームの雰囲気もとてもいい。次のレースが楽しみです。ラップを重ねるごとに、マシンのフィーリングがよくなっていきましたよ。もちろんスーパーバイク世界選手権からの調整は当然ながら少し時間がかかるし、このレースも少し違います。でも全体的にはとてもポジティブなテストだったし、8月の2022年鈴鹿8時間レースでジョニーとレオンと一緒に走れることが本当に楽しみです」
ギム・ロダ KRTチームマネージャー
「最初のセッションは雨、残りの3セッションはドライもしくはそれに近いコンディションで行なわれました。4回目のセッションの最後の10分間は小雨が降っていたので、早めに中止することにしました。技術面では、KMCとともにNinja ZX-10RRのシャシーセットアップと、レースやライディングの戦略に合わせて最適なエンジン戦略を決定しているところです。耐久レースは科学であり、全体的な戦略の一部として多くの要素を考慮する必要があるため、関係者全員がこのことを理解し、自分の役割を果たさなければなりません。ライダーに関しては、ジョナサンもアレックスも、マシン、タイヤ、コースと徐々にリズムをつかんできています。二人ともこのコースでの優勝経験があり、レースに向けて計画的に作業を進める方法を知っています。 ピットでは、KRT/プロベックのメンバーとKMCのエンジニアがひとつのサポートチームとして、効率的に作業できる環境を作ることに重点を置いています。私たちの長年の経験と効率的な組織を理解することで、この作業は思ったより簡単です。KMCジャパンのサポートは心強く、モチベーションを高めてくれますし、KRTのスーパーバイク世界選手権プロジェクトをベースにして、強固なものを構築していくつもりです。2022年の鈴鹿8耐に向けた我々のミッションはシンプルで、非常に強力で安定した、成功するプロジェクトを作り上げることです。この目標に向かって我々は順調に進んでいます」