マックススピードやマックスパワーを数値ではなく体感したい! そんな願いを叶えるために、超マックススピード走行会が開催された。愛車が秘めているマックスパワーを体験し、新たな一面を感じられる特別な日になった。
最高速に集中できる夢の環境で楽しむ一日
愛車の最高速を体感したい。多くのライダーがこの願望を持っているのではないだろうか。それを実現できそうなサーキット走行には大きな魅力があるが、さまざまなコーナーがあり、最高速アタックという点では難しい点もある。
そこで今回、“最高速を目指してライディングをする”というテーマで開催されたのが超マックススピード走行会だ。主催したのはトリックスターで、会場はメーカーなどがテストを行なう国内屈指のテストコース、最高速アタックの聖地・JARI(日本自動車研究所)の高速周回路である。一般ライダーを対象とした走行会をこの場所で開くのは初の試み。それだけに参加者からは「JARIを走るだけでも夢みたいです」という声が聞こえた。
走行が始まればその迫力はスゴい。やはりニンジャH2の走りは多くの参加者の目を引いた。参加者も「初めて本来の性能を味わった、そんな気がします」と感動を語っていた。
他にもさまざまな車種のユーザーが参加し、存分に愛車の性能を堪能。ニンジャ1000で参加の方も「普段はツーリングなので、違う一面を見られた気がします」と大満足していた。車種や目標ごとにグループ分けされていたため、安全に走りを楽しんだようだ。
絶好の好天にも恵まれ、新しい楽しみを満喫した一日となった。

好天にも恵まれ、多くのライダーが参加。朝の車検後から走行クラスごとに車両を並べていて、効率よく走行へ入れる。さまざまな車両があり、眺めて回るだけでも楽しい
走行にはプロレーシングライダーの先導が付く。最高速に挑戦する走行会らしく、先導車はニンジャH2カスタムマシン、ニンジャH2 SX SE+、ニンジャZX-10Rなどのハイパワーマシンが用意された
当日の朝には車検が行なわれる。各部のチェックだけでなく、タイヤのエアチェックと調整も行なう。パフォーマンスと安全性の向上のためだ
安全性を考慮して全クラスで先導走行。先導ライダーは鶴田さんをはじめ、山本選手や森選手といったプロレーシングライダーが務めるなど、充実した陣容だった
朝のミーティングでは走行の注意事項がていねいに説明される。とくに千鳥走行すること、車間距離を十分に取ることは入念に指示。安全に走行を楽しむためだ

朝のミーティング後に撮影した集合写真。ちょっと緊張ぎみの面持ちになっている人も多いかもしれない。初めて高速周回路を走行する楽しみと緊張が入り混じり、とても充実した表情が集まった
ズラリと並ぶカワサキ車。やはりと言うべきか、主催者トリックスターのマフラーを装着した車両がかなり多かった。日ごろとは違うマフラーの性能を堪能できたはずだ
ニンジャZX-25Rのクラスも用意された。排気量だけでなく、車種まで同一なので、パワー特性などの違いもなく、安心して走行ができると好評だったクラスだ。ニンジャZX-25R用として200㎞/hオーバークラスも用意された
フロントタイヤの接地感を向上させるカナードを装着したニンジャH2。今回のようにフル加速からの高速走行をする場合は大きな効果が期待できる
トリックスターが最高速チャレンジに使用したニンジャH2R。385㎞/hを記録したマシンである。今回はただの展示ではなく、実際に走行も披露した
スロットル全開でポテンシャルを感じる快感
会場は日本屈指のオーバルコース
メーカーのテストやメディアの最高速アタックなど、数々のテストが行なわれているJARI(日本自動車研究所)の高速周回路。なんと今回はここを全開走行できたのである。参加者のボルテージが上がるのも無理はない。コースとしては長い二本のストレートを二つのコーナーがつなぐオーバルコースだ。コーナーには傾斜がついていて、ハイスピードで曲がることが可能となっている。コースレイアウトとしてはとてもシンプルだが、慣れていない人から見れば、この傾斜が壁に映る。この現象はスピードが高いほど起きてくる。この恐怖心の克服に加えて、真っ直ぐに速く走るテクニックも最高速度を出すには必要となる、奥深いコースだ。雨はもちろん、風の影響も大きいので、好天は幸運だった。
天候にも恵まれ、車間距離も十分に確保して、走行は楽しくノントラブルで進む。この長い直線を思いきり走るだけでも特別な経験だ
オーバルコースでの高速走行なので、スロットルオフ地点の目印に高さ180㎝ほどの大きなコーンが用意
オーバルコースならではのバンク。ここのラインコントロールは一般道やサーキットでは味わえない難しさがある。速度が上がるほど壁に見える
JARIスタッフの富田さんは、かつて鈴鹿8耐にも出場したこともあるライダー。この日の走行に際して、走行ラインの修正方法などライディングアドバイスをしてくれた
歴代最強マシンが参加
カワサキに脈々と受け継がれている言葉“世界最速”。この称号を目指して開発された車両は多くの人を魅了してきた。その起源は500SSにまでさかのぼることになるが、今回は2000年以降の最強マシンが参加した。それぞれが登場当時“最強”の二文字に彩られたマシンたち。今回の走行会への参加車両はそれらのマシンが多く、多数のユーザーが、そのポテンシャルの高さを体感していた。ユーザーはもちろん、見学しているみなさんにも大いなる迫力として伝わった。
ニンジャH2は現在最強のマシン。スーパーチャージドエンジンがはじき出す加速力とスピードを、高速周回路で存分に楽しめたに違いない
ニンジャZX-14Rはロングツーリングや街乗りでも活躍するオールラウンドなメガスポーツ。排気量1,441㏄、最高出力200㎰を誇る走りは迫力満点だ
バックボーン型モノコックフレームを量産車で初めて採用したZX-12R。コンパクトな車体に178㎰のエンジンを搭載したモンスターは、やはりすごかった
ランチタイムにはゼロヨン対決が開催され注目を集めた。とくにニンジャH2 SX SEと新型ハヤブサ、ニンジャH2トリックスター仕様とランボールギーニ・アヴェンタドールなどが注目の的だった
ノーマルのメーター表示は299㎞/hまでのため、300㎞/h以上出すことを想定してアクティブのデジタルモニターを装着。走行後、そのモニターには317㎞/hの数字が表示された
ストレートエンドでは、スロットルオフの目安となる大きなパイロンがある手前で、スタッフによる速度計測が行なわれていた。これも走行会などではあまり見られない、めずらしい光景だ
走行の合間には、鶴田さんが参加者からの質問に答える場面もあった。シンプルなオーバルコースだが、走っているとさまざまな疑問が寄せられた
館岡 重光
オートバイ関連を中心に、ライター兼カメラマン兼エディター兼MCとして活動中