ヨシムラ
カワサキは幅広い層に向けてレトロスポーツモデルZ650RSを発表した。このZ650RSは、1977年に発売されたZ650B1を懐かしむ、若いライダーやライディングキャリアの浅いライダーをターゲットにして開発。古さと新しさ、レトロとモダンの絶妙なバランスは、カワサキのデザインチームによって巧みに実現されており、Zの魅力がふんだんに盛り込まれることになった。
Z650RSの心臓部には、現行Z650とNinja 650に搭載されている649㏄・水冷並列2気筒エンジンを採用。アシスト&スリッパークラッチを装備したこのエンジンユニットは、耐久性とパフォーマンスに定評があり、過酷なマン島TTレースでも活躍するほど。 とくにZ650RSでは、低中速回転域でのレスポンスアップと高回転域での爽快感を両立させたエンジンとなっており、最高出力は68ps(50.2kW)を発揮するとのこと。海外市場向けには35kwのパワーダウンキットを装着したA2規格のマシンも販売される。
シャシー面では、チューブラー・トレリスタイプのフレームを採用し、軽快なレスポンスと安心感のあるハンドリングを追求。幅も狭いため停車時の地面への接地性が高く、移動時の操作性も良好となるとのことだ。欧州モデルのシート高は820mmで、ローシートアクセサリーのオプションで800mmにも変更可能。また、Z650とZ650RSのフレームを比較すると、見た目としてはシートレール以外は同一と思われる。
サスペンションは、フロントにφ41mmの正立フォーク、リヤにはプリロード調整可能なホリゾンタルリンク式サスペンションを採用。ブレーキはフロントにツインピストンキャリパー、リヤにシングルピストンキャリパーを採用し、ボッシュ製アドバンストABSを装備する。フロントブレーキローターは一般的な形状のモノへ変更されているのもZ650との違いとなる。またホイールも20本の細いスポークを用いたデザインへ変更され、よりレトロ感を演出している。
Z650RSのスタイリングはZ650B1を彷彿とさせるペイントとピンストライプを採用することで、かつてのZ650B1のグリーンバージョンを忠実に再現。また、シート後方の象徴的な“ダックテール”カウルや、忠実に再現されたサイドパネルも1977年のマシンへのオマージュとなる。シートやステッチパターンにも、カワサキのスタイリストによるこだわりが感じられる部分だ。
ヘッドライトは丸型のLEDランプを採用し、砲弾型のデュアルアナログメーターにはライダーインフォメーションのデジタルセンターパネルが用いられている。また、カワサキ純正アクセサリーを活用して、さらなるドレスアップも可能だ。
カラーリングは3タイプを用意。メタリックスパークブラック、キャンディエメラルドグリーン、メタリックムーンダストグレー×エボニーが発表されている。
国内販売は2022年春ごろを予定している。価格は未定だ。
2022年モデル Z650RS
かつてのZ650B1は風を切り裂く擬音“ZAP”からザッパーと呼ばれ、その軽快な走りで人気を博したモデル。その軽快感ある走りはZ650でも受け継がれているが、さらにレトロテイストを持たせたZ650RSの登場で最初に触れたターゲット層を含め、より幅広いニーズに対応するものと予想される。
また、このZ650RS発表に合わせて“Retrovolution”という造語も登場。これはRETROとREVOLUTIONとかけ合わせたカワサキ独自の言葉で、レトロスポーツに革命をもたらす存在という意味でZ650RSが位置づけされていると思われる。そして今後、おそらくこのRetrovolutionのもと、各種派生モデルの登場も期待できるのではないだろうか。