2021年2月9日(火)から28日(日)まで、神戸海洋博物館にて“The Champ〜頂点に輝いたマシンたち〜”と銘打ってモーターサイクル企画展が開催された。数多くの勝利をもたらしたマシンが一同に展示され入場者を楽しませていた。
一同に展示されたチャンピオンマシン達
神戸海洋博物館の特設会場にて、春先恒例のモーターサイクル企画展が開催された。今回のテーマは“The Champ〜頂点に輝いたマシンたち〜”で、歴代の優勝車両やシリーズチャンピオン車両などのレーシングマシンが展示された。
最近の車両では2020年の鈴鹿8耐テストマシンや、スーパーバイク世界選手権6連覇のNinja ZX-10RRが展示され、過去のマシンでは、ライムグリーンが多い中、黄色い外装をまとった1974年エグリ・カワサキ1000なども展示されていた。さらに、2021年式ニンジャZX-10RRも初めて一般公開されていた。
また、隣接するカワサキワールドでは、メグロK3が大型パネルとともに展示され、来場者の目を楽しませていた。コロナ禍での開催となったが、入場前の検温や手指の消毒はもちろん、会場内の密を避けるために一度に入れる人数を制限するなど、さまざまな対策がほどこされていた。
なお、QRコード付パンフレットが配布され、特設サイトにアクセスすれば、会場にはなかった車両の情報や特典映像を閲覧することができた。今後のイベントの指標となるかもしれない展示会のあり方を示した方法も見受けられたのだった。
イベント初日には元ワークスライダーの多田喜代一氏も来場していた。なつかしむようにレーシングマシンを眺めていた。車両説明も気軽に応じてくれるフランクな人柄だ
カワサキ自慢のロボット・センサー技術を使った来場者の検温システム。カワサキはロボット開発にも力を入れており、今後も医療分野などで活躍が期待される
新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、会場内は一方通行にされた。最初にエグリ・カワサキ1000が来場者を迎え、そこから年代順にマシンが展示されている
1989年に登場したレーサーレプリカZXR750。ZXR-7に代わって、このマシンをベースにワークスマシンZXR750Rが製作され、94年見事に世界耐久選手権チャンピオンを獲得した
2000年の全日本ロードレース選手権スーパーバイクでチャンピオンを獲得したNinja ZX-7RR。井筒仁康選手が、11戦中5勝を挙げてチャンピオンを獲得した
2013年に優勝9回という、圧倒的な強さでカワサキ初のスーパーバイク世界選手権シリーズチャンピオンを獲得した、Ninja ZX-10Rも展示されていた
2020年の鈴鹿8時間耐久テストマシン。2019年優勝チームであるカワサキが連覇をねらい開発した、鈴鹿8耐仕様Ninja ZX-10RRは幻のマシンとなったが、その仕上がりが見事
注目の新型10RRを国内初披露
2021年式Ninja ZX-10RRが初めて一般公開された。スーパーバイク世界選手権6連覇を達成したNinja ZX-10RRからフィードバックしたテクノロジーを投入して、さらなる高性能化をはたしている。また、世界500台限定生産のNinja ZX-10RRは、レーシングカーや航空宇宙関連のエンジン部品を製造するパンクル社の軽量ピストンや、空冷オイルクーラーを新たに装備して、走行性能のアップが図られている。また、リバーマークを、過給機を装備しないモデルの量産市販車として装着したのも話題となっているマシンだ。
2021年モデル Ninja ZX-10RR

世界500台限定生産となるNinja ZX-10RR。シングルシートカウル仕様で、専用のカムシャフトやチタンコンロッドの採用などにより、高回転のレブリミットを上げることに成功している
Ninja H2ゆずりの逆スラントノーズを採用し、小型のLEDヘッドライトを装着する。ヘッドライト左右にあるダクトがウイングレットへの導風口だ
TFTフルカラー液晶メーターを新採用。専用アプリを用いて車両状態やセッティングの確認などができるコネクト機能も装備されている
メーターの操作スイッチが並ぶ左スイッチボックス。ライディングモードはスポーツ、ロード、レイン、ユーザーセッティングの4パターンがある
テールカウル左右には小さなダクトが追加され、走行風が抜けることで車体後方の空気を整流させる。細かな見直しが空気抵抗を低減させている
大容量の空冷オイルクーラーを装備して冷却性能を向上。スペックこそ大差は無いそうだがパフォーマンスは大幅に向上している
栄光の6連覇を達成したマシンを展示
2020年スーパーバイク世界選手権6連覇を達成したNinja ZX-10RRも展示されており、来場者が、気になるポイントの写真をじっくりと撮影していた、実車は、カワサキレーシングチームのジョナサン・レイが、2020年10月17日のポルトガル・エストリルサーキットのレース1において、前人未到のスーパーバイク世界選手権6連覇を達成したマシンだ。同時にカワサキは、マニュファクチャラーズタイトルの6連覇も獲得した。ジョナサン・レイとカワサキの勝利がどこまで続くのかも、カワサキファンにとっても非常に楽しみだろう。
2020 スーパーバイク世界選手権6連覇 Ninja ZX-10RR

2020年シーズンにジョナサン・レイは、スーパーバイク世界選手権でシリーズチャンピオンを獲得した。そのマシンの技術は新型Ninja ZX-10Rにフィードバックされている
チタンコートのインナーチューブと削り出しのパーツで構成されるフロントフォーク。独特なフローティングピンを持つキズついたローターが、壮絶なバトルを潜り抜けたことを想像させる
カーボン製のメーターパネルにマニエッティマレリー製の液晶メーターが装着されたコックピット。構成されるパーツのひとつひとつがハイクオリティだ
ハンドル右側同様、スイッチボタンを左側のハンドルまわりにも装備。走行中に行なう各種操作のスイッチボタンが効率よく配置されていた
左ハンドルのクラッチレバーの下側に小ぶりなレバーが見受けられた。極限までバンクさせるレーシングマシンでリヤのブレーキを当てるためのレバーらしい
スロットル側のハンドルまわり。ブレンボのブレーキシステムやワンオフパーツのデバイスが装備されている。美しいモノにはしっかりと理由があるという表現を思い出す