ヨシムラ
カワサキバイクマガジン2020年11月号(通算146号)でも紹介しているロータリーエンジンを搭載したX-99。約900㏄・2ローターのロータリーエンジンは1974年に開発がスタート。走行試験も経ながらも、1975年のオイルショックによって市販化直前で開発がストップしたという、まさに幻の車両だ。
その試作機はカワサキに現存し、カワサキバイクマガジンが上記誌面で紹介しているのだが、今から約1年前の2019年7月から、X-99プロダクトデザイナーのインダビュー動画がカワサキ公式で公開中となっている。
プロダクトデザイナーは財部統郎(Takarabe Tsugio)氏。氏はさまざまな挑戦を続け、バルカンシリーズやカワサキVツインエンジンの開発に携わってきたという。
インタビュー動画は約7分49秒で、開発時の問題点や苦労点などを改めて語っている。
「ずっとエンジンばかりやってきたものですから、変わったエンジンをやってみたいという思いがあって。まぁあれほど燃費が悪いとは知りませんでした。やってみて初めてわかりました」
「(エンジンは)なにせコンパクトさを願って決めた要素が多いわけですから“上手く回ればいいなぁ”という感じでしたね。全然(ロータリーの)経験がないから、いろいろコンピューターを弾きながら諸元を120種類くらい検討した覚えがあります。そのなかから一つ選びました」
「第4次中東戦争でオイルショック。それですぐ原油価格がポンと上がったんです。マツダさんは輸出していてアメリカで叩かれていたんです。ロータリーは大食いエンジンだと。そうなると続けられる状態ではなかったですね。今からというときに“止め”の指令が出ましたから。それからは撤退作業で一生懸命です」
「開発に苦労したかと言われれば、苦労する直前に中止でしたね。だから矢田部も一遍行ったきり。一度走ったきりです。問題点はほとんど洗い出せなかったと思います」
動画内では初めて触れるロータリーエンジン開発の難しさについて随所で触れられているが“新たなカワサキの挑戦”に対する内部スタッフの意気込みも垣間見られる貴重な動画だ。そんなカワサキエンジニアの証言をぜひご覧いただきたい。