ヨシムラ
2019年10月の東京モーターショーにて発表されユーザーの度肝を抜いた、スーパーチャージドエンジンを搭載したZシリーズのニューモデル・Z H2。その国内仕様の詳細がこの度発表されている。
発表当時の日本導入予定は2020年初夏というアナウンスだったが、スケジュールが大幅に早まり発売日は2020年4月4日となった。また気になる価格だが、同じスーパーチャージドエンジン搭載モデルである、Ninja H2 SX SEが244万2,000円(税10%込)、そしてNinja H2 CARBONが363万円(税10%込)であることを考えると、装備の違いはあるものの、Z H2も200万円超えは避けられないのではないかという予想に反して、カワサキケアモデル指定※1で189万2,000円(税10%込)という200万円を切るうれしい価格設定となった。なお、カラーは今のところメタリックスパークブラック×メタリックグラファイトグレーの1色のみの設定となる。
カワサキケアモデルとは?
今回新たに登場した「カワサキケアモデル」とは、カワサキがユーザーの安心・安全なモーターサイクルライフをサポートすることを目的として設定されたモノで、該当車両を購入したユーザーは、カワサキプラザの購入特典である1年目のロードサービス(距離無制限)と3年間の新車保証に加え、カワサキプラザでの定期点検5回・オイル交換3回のメンテナンスを無償で受けることができる。
必要十分なパワーと扱いやすさを両立させた、バランス型スーパーチャージドエンジンを搭載
Z H2が搭載するエンジンは、Ninja H2 SXシリーズと同じく、燃費と性能のバランスを図りながら、過給圧を綿密にコントロールするバランス型スーパーチャージドエンジンだ。さらにZ H2はNinja H2 SXシリーズとも味付けを替えており、最高出力で200psを発揮するモンスターながら、吸排気特性の調整とFIセッティングによりトルクフルな低中速域を実現。さらには電子制御スロットルバルブを搭載し、スムーズで自然なスロットルレスポンスを実現しているという。
操縦性と安定性の両立を目指した、完全新設計のトレリスフレームを採用
車体についてだが、完全新設計のトレリスフレームは、低中速走行時の操縦性と高速域走行時の安定を高次元でバランスさせたものだという。さらにサスペンションにはZ1000から採用が始まったショーワ製SFF-BP(セパレートファンクション-ビッグピストン)フロントフォークと、ニューユニトラックスイングアーム方式のリヤサスペンションを搭載し、ショーワ製リヤショックと相まってあらゆる速度域での作動性を確保しつつ、高い荷重がかかった場合には奥までしっかり粘る踏ん張りを実現している。
大型モデルでは定番となってきた各種電子制御機能がてんこ盛り
Z H2の車体にはボッシュ社製のIMU(慣性計測装置)を搭載し、そのフィードバックを元に各電子制御システムにより車体が緻密にコントロールされる。具体的には、リヤタイヤのスリップを制御するKTRC(カワサキトラクションコントロール)をはじめ、出力特性やKTRCを連携させるパワーモード、さらにプラスしてKIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム)と、KLCM(カワサキローンチコントロールモード)を統括するKCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション)を採用し、各種情報を瞬時に解析しながら快適なライディングをサポートする。またKQS(カワサキクイックシフター)やエレクトリッククルーズコントロールなど、ライダーの疲労を軽減するシステムも搭載。
Z H2のデザインコンセプトは“SUGOMI & Minimalist”
Zシリーズ共通のデザインフィロソフィとして2014年モデルのZ1000から提唱され続けてきた“SUGOMI DESIGN”は、このZ H2にも脈々と受け継がれており、獲物に襲いかかる猛獣をイメージしたクラウチングスタイルを見事に車体デザインに落とし込んでいる。さらにこのZ H2は、華美な装飾を廃し機能美を追求したMinimalistデザインが施され、車両の根幹とも言えるダウンサイジングコンセプトをデザインに昇華させているのが、最大の特徴と言えるだろう。
そして何と言っても特徴的だと思えるのは、むき出しとなったエアインテークダクトだろう。カウル内に納められていたNinja H2シリーズとは違い、スーパーチャージドエンジン搭載モデルをネイキッド化すると、デザイン上の足枷ともなりかねない部分だが、これをアシンメトリーデザインとしてその特徴を積極的に取り入れ、独創的なスタイルに仕上げている。またエアクリーナーをエアインテーク内に納め、あえてスーパーチャージャーのハウジングを誇示することにより、視覚的に所有感を満たす演出にも注目したいところだ。
さらにフロントフェイスには、Z400/250から徐々に取り入れられてきた“キバ”付きカウルが採用されており、またスーパーチャージドエンジン搭載モデルにだけ装着が許されたリバーマークがヘッドライト上に鎮座し、他のモデルにないオーラを放っている。
豊富なアクセサリー
Z H2には機能性・快適性向上からドレスアップまで、さまざまなアクセサリーが用意されている。日本仕様ではECT車載器が標準装備される。
2020年モデル Z H2
オフィシャルビデオ
2020年モデル Z H2(国内仕様)の主なスペック
車名 | Z H2 | ||
---|---|---|---|
マーケットコード | ZR1000KLF | ||
型式 | 2BL-ZRT00K | ||
全長x全幅x全高 | 2,085mm×810mm×1,130mm | ||
軸間距離 | 1,455mm | ||
最低地上高 | 140mm | ||
シート高 | 830mm | ||
キャスター/トレール | 24.9°/ 104mm | ||
エンジン種類/弁方式 | 水冷4ストローク並列4気筒/DOHC 4バルブ | ||
総排気量 | 998cm³ | ||
内径x行程/圧縮比 | 76.0mm×55.0mm/11.2:1 | ||
最高出力 | 147kW(200PS)/11,000rpm | ||
最大トルク | 137N・m(14.0kgf・m)/8,500rpm | ||
始動方式 | セルフスターター | ||
点火方式 | バッテリ&コイル(トランジスタ点火) | ||
潤滑方式 | ウェットサンプ | ||
エンジンオイル容量 | 4.7L | ||
燃料供給方式 | フューエルインジェクション | ||
トランスミッション形式 | 常噛6段リターン | ||
クラッチ形式 | 湿式多板 | ||
ギヤ・レシオ | 1速 | 3.076(40/13) | |
2速 | 2.470(42/17) | ||
3速 | 2.045(45/22) | ||
4速 | 1.727(38/22) | ||
5速 | 1.523(32/21) | ||
6速 | 1.347(31/23) | ||
一次減速比 / 二次減速比 | 1.480(74/50)/2.555(46/18) | ||
フレーム形式 | トレリス | ||
懸架方式 | 前 | テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 43mm) | |
後 | スイングアーム(ニューユニトラック) | ||
ホイールトラベル | 前 | 120mm | |
後 | 134mm | ||
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C (58W) | |
後 | 190/55ZR17M/C (75W) | ||
ホイールサイズ | 前 | 17M/C×MT3.50 | |
後 | 17M/C×MT6.00 | ||
ブレーキ形式 | 前 | デュアルディスク 320mm(外径) | |
後 | シングルディスク 260mm(外径) | ||
ステアリングアングル (左/右) | 29°/ 29° | ||
車両重量 | 240kg | ||
燃料タンク容量 | 19L | ||
乗車定員 | 2名 | ||
燃料消費率(km/L) | 22.5km/L(国土交通省届出値:60km/h・定地燃費値、2名乗車時) | ||
16.9㎞/L(WMTCモード値 クラス3-2、1名乗車時) | |||
最小回転半径 | 3.3m | ||
カラー | メタリックスパークブラック×メタリックグラファイトグレー(BK3) | ||
発売予定日 | 2020年4月4日(土) | ||
メーカー希望小売価格 | 189万2,000円(税10%込) |