ヨシムラ
昼はレースを観戦し、夜はキャンプを楽しむ。
日本屈指のツーリングスポット、くじゅう阿蘇を活かした新しい展開
日本屈指のツーリングスポット、くじゅう阿蘇国立公園。オートポリスは九重連山の西部、阿蘇カルデラの北部に位置する国際レーシングコースだ。1990年にオープンし、2005年からはカワサキが運営する。
「カワサキが“モノ作り”に取り組んでいるのに対して、オートポリスの事業は“コト作り”と言えます」
レース観戦や走行会をはじめとして、一般の人にさまざまな体験を提供する場がオートポリスであると、オートポリス支配人の廣﨑 豊氏は語る。
「現在、二輪と四輪のレースを開催していますが、四輪のレース運営はカワサキのなかでも特殊な事業に入ります。というのもカワサキは、オフロード四輪車は製作していますが、乗用車や四輪のレーシングマシンは製作していません。そのカワサキのグループ会社であるオートポリスが、スーパーGTやスーパーフォーミュラといった四輪レースを運営しているのですから、カワサキグループとしては異例の事業といえるでしょう」
カワサキ製品の枠を超えて、オートポリスはさまざまなコンテンツに取り組んでいるが、今後、さらに幅広い展開を計画している。
「オートポリスが今まで積み重ねてきたことを活かして、新たな活動を展開していこうと考えています。今、計画していることの一つが、サーキット内の宿泊施設を整えることです。現在、コースサイドロッジ(6棟30室)を設備していますが、キャンプサイトを追加できればと考えています。朝はさわやかな風と鳥の声を聞き、昼間はレース観戦を楽しんで、夜は満点の星を眺めながらキャンプを楽しむ。実はオートポリスからは有明海、島原半島、雲仙普賢岳を眺めることができるんです。高台に登れば九重連山を一望できます。それらを眺めながら朝、昼、晩と、くじゅう阿蘇の大自然を満喫していただきたい」
この試みは夢物語ではない。今年、テストケースとしてビッグレースの開催時に、芝生エリアの一部をグランピングとオートキャンプエリアにする予定だ。
「テストケースの結果しだいでは、レース開催時に限らず、オートポリスをオートキャンプ場として利用していただくことも考えています。その暁には、くじゅう阿蘇に広がる日本一の絶景ロード群を楽しむための拠点として、ぜひオートポリスを利用していただきたいです」
カワサキが運営する九州のクローズドコースと言えば、SPA直入を忘れてはならない。廣﨑氏によれば、やまなみハイウェイやミルクロード、ぐるっとくじゅう周遊道路、マゼノミステリーロードなど、日本を代表するワインディングロードを利用して、オートポリスとSPA直入をつなぐツーリングイベントも構想している。
レースに関する新展開でも期待したいことがある。カワサキが好調を続けているスーパーバイク世界選手権(SBK)の開催だ。
「開催は未定ですが、いざ開催が決まったときのために、受け入れ側としての準備を怠らないようにしたいですね。SBKを開催するためには、運営のノウハウや設備など、整えなければならないことが山ほどありますから」
来年、オープン30周年を迎えるオートポリスに、期待は高まるばかりである。