体感重量が軽く想像以上の軽快感とツーリングでの予想外の快適性
Z650に乗っていると、ワインディングを走ることが本当に楽しくて仕方ない。「俺ってこんなにうまかったんだっけ」と勘違いしてしまうほど、思い通りにカーブを抜けていく
エンジンに関しては最高出力68ps。200psをはじめ、100ps以上のモデルが多くラインナップされている昨今、Z650のパワーは数字だけ見れば大したことはなさそうに思えるかもしれない。でもワイディングを走るならこれだけあれば十分。カーブを立ち上がる時、スロットルを大きく回せば、前輪が浮く勢いで加速していく。Z650はそれほど十分なパワーを持っているのだ。
ヒラリヒラリとカーブを抜け、クイックに加速していく。しかも扱いやすい。だからアクティブにバイクを操ろうという気になる。となると、その性能は我が手中にあるように感じるのだが、完全に引き出せていないのが現実。といっても、Z650の性能は、自分の力が到底及ばないはるかかなたに位置しているのではなく、ちょっと頑張れば手の届く位置にある。だから、扱うのが楽しい。Z650は乗っていて本当にワクワクする。このワクワク感とともに赤城山、榛名山、妙義山を楽しんだ。
高速道路を連続400km近く走ってもお尻はまったく痛くならなかった。疲れもそれほどなく、Z650はスーパーネイキッドらしからぬツーリングの快適性を備えたモデルだ
さすがスーパーネイキッドといったところだが、Z650はそれだけで終わらない。今回Z650に乗って一番予想外だったことは、ロングツーリングを快適に楽しめるということ。パッと見、薄っぺらで堅そうなシートだけれどお尻はまったく痛くならず、腕や肩の張りや痛みもまったくない。体力的な疲労はほとんどなし。
乗る前のイメージは、一瞬のパフォーマンスを楽しむスプリンターだったのだが、実際乗ってみれば、Z650はザッパー性能とロングツーリングの快適性を兼ね備えたモデルということに気付かされた。これは今回の大きな収穫だ。
レバー操作性
Z650にはアシスト&スリッパークラッチが採用されているので、クラッチレバーの操作はかなり軽い。まるで250ccクラスのクラッチレバーを握っているかのよう。そのため、クラッチレバー操作の多い一般道路を、今回の距離くらいを走り続けても、手はまったく疲れない
スイッチ操作性
この感覚は、もしかしたら僕の思い過ごしかもしれないが、気のせいか、これまでのカワサキ車のスイッチより、スイッチの切り替えがしっくりくる。ウィンカースイッチがボヨッと切り代わるのではなく、どちらかと言えばカチッと切り代わる感じだ
シート快適性
このシートは完全に予想外。見る限りはスーパーネイキットのイメージそのままの薄っぺらいシートで、ちょっと座った感じも硬め。でも、この企画で2日間乗っても、ケツは全く痛くならない。少し痛いとかというレベルではなく全然痛くならずに、ケツはかなり快適
たそがれ度
本文やチェックポイントの解説などで、さんざん“軽い”とか“扱いやすい”とか書いたけれど、見た目はイカツイZ650。見ているだけなら、ついついこっちも身構えてしまう。カウルの造形など、車両の作りには高級感があり、見れば見るほど、所有感が増す
燃費
高速道路と一般道路の、この差! 高速道路ではエコマークが終始点灯していたのに対して、ワインディングでは低ギヤを引っ張りまくってエコランとは無縁の走り方をしていた結果だろう。燃料計が点滅してから105.1km走行してからガス欠となった
油種 |
レギュラー |
市街地 |
23.4km/ℓ |
ワインディング |
21.6km/ℓ |
高速道路 |
34.4km/ℓ |
ガソリン満タン航続距離 |
329.9km |
乗り降り
グリップ位置が車体を支えやすい位置にあるのと、車体が軽いので、跨る時の安心感がある。ただし、テールカウルが跳ね上がっているので、油断しているとブーツでテールカウルを蹴飛ばしてしまうかもしてないので、注意すべし。テールカウルにキズが!なんてならないように
2017年モデル Z650 ABS(ER650H)
2017年モデル・国内仕様として新しくラインナップされたZ650。スーパーネイキッドZシリーズのうちの1車種で、前衛的なスタイルが特徴。構造のルーツをたどるとER-6nだが、それをあまり連呼してはいけない。コイツはあくまでZなのだ。とにかく見て楽しい、乗るともっと楽しいモデルだ。カラー:メタリックフラットスパークブラック×メタリックスパークブラック
[Z650 ABS]Zファミリーの勢力拡大。中間クラスに新たなZが登場