ヨシムラ
2019年1月25日にダンロップの新製品発表会が行なわれ、TT100GP ラジアルとSPORTMAX Q4の2つのモデルが紹介された。いずれのタイヤも性能向上だけを狙ったモノではなく、個性的なキャラクターが特徴のタイヤとなっており、とくにTT100GP ラジアルはネオレトロスタイルのZ900RSなどにマッチするデザイン性を重視したタイヤ。カワサキユーザーとしては注目のモデルといえるだろう。
ラジアル版が登場したTT100GP
カワサキの旧車オーナーであれば、その名を知っている人も多いであろうダンロップの名作タイヤ・TT100GP。その起源は1960年代後半に開発されたTT100に遡り、現在発売されているバイアス版のTT100GPにもレトロスポーツスタイルのそのパターンは継承されている。カワサキ空冷系マシンにも採用例の多い、旧車にマッチするレトロなパターンが魅力のタイヤだ。
今回、新たに発表されたTT100GPラジアルでは伝統のクラシカルなデザイン性の高さはそのままに、Z900RSをはじめとしたラジアルタイヤを標準装備するネオレトロスタイルの最新モデルでも対応できるよう、性能とデザインの継承にこだわって開発が進められたという。
ツーリングや街中走行を主眼に置き、TT100GPの持つレトロ感を損なうことなく、さまざまな改良を施すことでクセのないハンドリングを追求したというTT100GPラジアル。
コンパウンドにはシリカを配合することで、低温時やウェット路面での安定したグリップを確保しつつ、フロントタイヤパターンはミゾの幅を狭くしたり、サイプを採用したり、リヤタイヤではショルダー部のミゾをサイドウォールまで延ばさず浅くしたり、センターのミゾをジグザグに(TT100GPではストレート)するなど、パターン形状を最適化することでラジアルタイヤらしいパターン剛性を追求。それでも、デザイン性を重視したためパターン剛性は低めになってしまい、ハンドリングは重くなりがちだが、デザイン性は確保したいということでトレッド構造により軽快なハンドリングも追求されている。
サイズは全3サイズを展開予定だ。また、同時にラジアル版のTT100GPにも新たに100/90-18(フロント用)が追加される。
サイズラインナップ
米国開発のハイグリップタイヤ・Q4
同時に発表されたのは米国ダンロップで開発された新型ハイグリップタイヤ・スポーツマックス Q4だ。すでにダンロップからはα-13spというハイグリップタイヤが販売中だが、今回登場したQ4はそのα-13spと同じストリート用ハイグリップタイヤのフラッグシップモデルという位置付となる。
今回登場したQ4はα-13spよりも、積極的にバイクを操ることの楽しさを追求したタイヤに仕上げられているといい、シャープで軽快なハンドリングのα-13spに対して、ワイルドで豪快なハンドリングに仕上げられているとのことだ。
ブレーキングによりフロントに荷重をかけ、積極的にタイヤを路面に押し付けながら曲げていくという楽しみ方を想定して開発が進められたというQ4では、テスト走行で最大バンク角62度を記録したという。スリックタイヤのようなレーシーなトレッド面にSPORTMAX Q4の大きなロゴを付けることでそれを安心して消すことができるような高いグリップ性能が確保されている点がPRされていた。
それを実現するためにレース用のスリックタイヤなどでも採用されているジョイントレストレッド(細長いコンパウンドのスジを張り合わせていくタイヤ構造)や、サイドウォール部にカーボンファイバーを採用するなど、グリップ力の高さに負けない剛性の高さが追求されている。
また、タイヤウォーマー不要ながら、熱にも強いコンパウンドを採用しつつ、低温時でも十分なグリップを発揮してくれる点も魅力だという。ウェットグリップに関しても、スリックタイヤのようなミゾの少なさだが、それぞれのミゾを長くすることで十分なウェットグリップ性能が確保されているとのこと。
タイヤサイズは600cc&1000ccクラスのスーパースポーツにマッチする全7サイズを展開予定だ。
さらに、リヤタイヤには180/60-17と200/55-17という扁平率が高く、より外周の大きなタイヤサイズが設定されているのもポイント。フロント荷重を強めつつ、倒し込みがさらに軽くなるスポーティなキャラクターにとなっているという。