ヨシムラ
EICMA2017で発表され、大いに話題を呼んだカワサキのスーパーチャージドエンジン搭載モデルの第二弾となるニンジャH2 SX/SX SEが、2018年3月1日より国内販売を開始する。
販売価格はスタンダードモデルとなるニンジャH2 SXが199万8,000円、上級グレードとなるニンジャH2 SX SEが237万6,000円だ。
ニンジャH2が302万4,000円(ブライト参考価格)、ニンジャ ZX-14R ハイグレードが186万8,400円(ブライト参考価格)なので、スーパーチャージドエンジンの間口を広げるかなり戦略的な価格設定といえるのではないだろうか。
ストリートでの扱いやすさを重視して各部を最適化した「バランス型スーパーチャージドエンジン」を搭載
バランス型スーパーチャージドエンジンと呼ばれるニンジャH2 SX/SX SE用の新型エンジンは、究極の性能と日常での用途を目的に作り込まれている。
ニンジャH2譲りの998cc並列4気筒 スーパーチャージドエンジンをベースに、ストリートでの扱いやすさを重視して、ブレードの形状や角度を最適化した自社開発の新形状インペラをはじめ、燃焼室や吸排気系など、多岐にわたるリニューアルを実施。
長距離走行時の疲れにくさと低速域での従順さを備えつつ、スーパーチャージドエンジンらしい加速感の両立をねらった新型エンジンは、優れた燃費性能を確保するとともに低中回転域ではニンジャH2を凌ぐパワーを発揮するという。
最大トルクは137N・m(14kgf・m)/9,500rpm、最高出力は147kW(200PS)/11,000rpmを発揮するハイパワーなエンジンながら、ニンジャH2では8.5に設定されていた圧縮比がニンジャH2 SX/SX SEでは11.2とかなり高めに設定されていることからも、スーパーチャージャーの過給圧は低めに低中回転域でのトルク感を重視したエンジンであることが見て取れる。
ニンジャH2 SX/SEの燃費は定地燃費値で27km/ℓ、WMTCモード値で17.9km/ℓとなっている。ニンジャH2の燃費は編集部の実測だと市街地で13.5km/ℓ、高速道路で17.2km/ℓほど(1,000km走行)というデータが出ており、これと比較すると、確かに燃費は改善されているようすだ。
また、航続距離に関してもニンジャH2(タンク容量17ℓ)では実測で240kmほどだが、タンク容量が19ℓ確保されているニンジャH2 SX/SEでは340kmほどの航続距離が期待できるだろう。
もちろん、ライダーをサポートする最新の電子制御システムもふんだんに盛り込まれており、ニンジャH2と同様、ボッシュ製のIMU(慣性計測装置)を搭載。
カワサキ・トラクション・コントロール(KTRC)や、スーパースポーツ用高精度ブレーキ制御システムであるカワサキ・インテリジェント・アンチロック・ブレーキ・システム(KIBS)、カワサキエンジンブレーキコントロール、フル・ミドル・ローの3モードから選択可能なパワーモード、エレクトロニッククルーズコントロールを標準装備している。
H2の血統を継承した攻めたスタイリングと、完全新設計となるトレリスフレームを採用
フレーム形状はニンジャH2と同様のトレリスタイプながら、ツアラーとしての要件を満たすためニンジャH2 SX/SX SEではフレームを完全新設計としている。新フレームはパッセンジャー&荷物の積載にも耐える強度を確保するとともに、1,480mmのロングホイールベース(ニンジャH2比で25mmロング)に設定することでハイレベルな高速安定性が追求されている。また、30°のステアリング切れ角を確保しているので取りまわし性も良好だろう。
ニンジャH2とZZR1400、両機のフラッグシップマシンのエッセンスが感じられるカウルデザインを与えられたニンジャH2 SX/SX SE。
ZZR1400で培われたカウリングデザインのノウハウを応用し、快適なツーリングを実現するウインドプロテクション性能を確保しつつ、ライディングポジション(ヒジ・ヒザの曲がり具合)はZZR1400よりも快適な設定に。
その他にも、ツーリング性能を高める専用装備としてETC2.0車載器やタンデムステップヒールガード部の荷掛けフックが標準装備されている。ちなみに、これらの変更に伴い車両重量はニンジャH2比で18kg増の256kgとなっている。
ハイグレードバージョンのSEは、誰もが羨む豪華装備がてんこ盛り
バリエーションモデルとなるニンジャH2 SX SEは、カワサキ車で初となるフルカラー液晶メーターなどの豪華装備を採用したニンジャH2 SXの上級グレードだ。メーター表示はツーリング or スポーツの2つのモードから選択が可能。
カウル両サイドに備えられたコーナリングLEDライトはバンク角に応じて照射角度を自動調整し、ライダーの行く先を常に照らしてくれる。ほかローンチコントロールシステムやクラッチ操作無しでシフトアップ・ダウンが行なえるカワサキクイックシフター(2,500回転以上の回転域でのみ利用可)、ロングスクリーン(ニンジャH2 SX比で55mmアップ)なども標準装備している。
また、専用デザインのメイン・タンデムシートやDC電源ソケット、センタースタンド、グリップヒーター、タンク&ニーパッドを標準装備することで、ニンジャ H2 SXよりもさらにレベルの高いツーリング性能を追求している。
それに加えて、ニンジャH2 SX SEのみの専用装備としてステンレスメッシュブレーキホースやホイールリムテープ、ホイールスポークとリヤホイールカップリング部の切削加工&クリア塗装などを採用し、よりハイグレードな仕上がりとすることでニンジャ H2 SXとの差別化が図られている。
なお、これらの変更に伴い車両重量はベースモデルのニンジャH2 SX比で4kg増の260kgとなっている。