ヨシムラ
EICMA2016でZ900とともにワールドプレミアとして発表されたZ650。カワサキは2013年のZ800の登場を皮切りに、積極的にZブランドの強化を推し進めてきており、このZ650およびZ900の登場はその次なる一手として、今後の方向性が垣間見える発表と言えるだろう。
Z650といえば、1976年に登場した往年の名車・ザッパーを思い浮かべる人も多いだろうが、“新しい”Z650はマーケットコード“ER650H”が物語るように、ER-6nの血筋を色濃く残したモデルとなっている。しかしながらカワサキは、Z1に対するザッパーのように、“ミドルクラスならではの軽量な車体とトルクフルなエンジンによる機敏な運動性能”といったコンセプトを受け継いだモデルであると謳っており、これは非常に興味深いポイントである。
もちろん注目すべきは、よりZらしく変更されたそのスタイルで、ER-6nの柔らかで親しみやすいイメージから、Zファミリー共通のダイナミックで角張ったフォルム、いわゆる“Sugomiデザイン”が与えられているところがポイントである。
具体的には、カワサキが“クラウチングスタイル”と呼ぶ、猛獣が獲物に飛びかかる前の低く構えた姿勢を意識したスタイルとなっており、左右に付けられたボリュームのあるシュラウドや、コンパクトかつ大きく跳ね上がったテールまわりなど、スポーティさと力強さの両方を巧みに演出していると言えるだろう。
採用されているエンジンは、ER-6nより受け継いだ排気量649cm3の水冷4ストローク DOHC 4バルブ 並列2気筒エンジンで、ボア・ストロークや圧縮比などの変更は行なわれておらず、低中速を重視した扱いやすいパワー特性が与えられているとのこと。また昨今定番のアシスト&スリッパークラッチをZ650も採用し、肩ヒジ張らないライダーフレンドリーなマシン特性はER-6nよりさらに熟成されているものと思われる。
足まわりに関しては、前後17インチホイールにタイヤはDUNLOP SPORTMAX D214を装着。フロントにはインナーチューブ径Φ41mmの正立フォークとΦ300mmダブルディスク&ニッシン製片押し2ポットキャリパーを装備する。リヤは新設計のスイングアームとともに、特徴的だったリヤショックのレイアウトを見直し、新たにホリゾンタルバックリンクを採用。ブレーキはΦ220mmシングルディスクにニッシン製片押し1ポットキャリパーを組み合わせている。
ライディングポジションは、人間工学に基づき極めて自然な乗車姿勢を目指して設計されており、またフラットかつ幅の広いハンドルや、より低くなったシート高により(ER-6nの805mmから15mm低い790mm)、取り回しも容易であると思われる。フレームはわずか15kgという新設計のトレリスフレームを採用。スリムさに磨きをかけつつも軽量化を実現し、装備重量はABS装着モデルで187kg(ER-6nと比べ19kg軽量)を実現している。
その他、装備面では、Z900に装着されている新設計の多機能インストルメントパネルをZ650も採用している。上部に鎮座するタコメーターはアナログ方式だが、メーター針がデジタル表示となっており、メーター針の表示パターンを好みに応じて3種類から選択することができるほか、ギヤポジションインジケーターも内蔵しつつ、存在を主張しすぎないコンパクトな設計が特徴的となっている。またオプションパーツも充実しており、定番のメーターバイザーやサイドバック、ほかトップケースなどなど、実用性を重視したパーツが多くラインナップしているようだ。
最後に気になる国内販売に関してだが、カワサキモータースジャパンから“ABS搭載モデルが2017年春に販売予定”とリリースされており、現在、販売価格やカラーについては調整中とのこと。
2017年モデル Z650 ABS (ER650H)※欧州一般仕様
オフィシャルビデオ
スペック一覧
車名(通称名) | Z650 | |
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マーケットコード | ER650H | |
全長x全幅x全高 | 2,055mmx775mmx1,080mm | |
軸間距離 | 1,410mm | |
最低地上高 | 130mm | |
シート高 | 790mm | |
トレール | 100mm | |
エンジン種類/弁方式 | 水冷4ストローク並列2気筒/DOHC 4バルブ | |
総排気量 | 649cm³ | |
内径x行程/圧縮比 | 83.0mmx60.0mm/10.8:1 | |
最高出力 | 50.2 kW(68PS)/8,000rpm | |
最大トルク | 65.7N・m | |
始動方式 | セルフスターター | |
点火方式 | デジタル | |
潤滑方式 | セミドライサンプ | |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション(φ36mm×2) デュアルスロットルバルブ搭載 |
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トランスミッション形式 | 常噛6段リターン | |
クラッチ形式 | 湿式多板 | |
ギヤ・レシオ | 1速 | 2.438(39/16) |
2速 | 1.714(36/21) | |
3速 | 1.333(32/24) | |
4速 | 1.111(30/27) | |
5速 | 0.966(28/29) | |
6速 | 0.852(23/27) | |
一次減速比 | 2.095(88/42) | |
フレーム形式 | トレリス(高張力鋼管) | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック(正立・インナーチューブ径41mm) |
後 | ホリゾンタルバックリンク | |
ホイールトラベル | 前 | 125mm |
後 | 130mm | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70ZR17M/C(58W) |
後 | 160/60ZR17M/C(69W) | |
ブレーキ形式 | 前 | デュアルディスク(外径300mm・セミフローティングペタルディスク) キャリパー:片押し2ポッド |
後 | シングルディスク(外径220mm・ペタルディスク) キャリパー:シングルピストン |
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ステアリングアングル (左/右) | ─/─ | |
車両重量 | 187kg | |
燃料タンク容量 | 15L | |
乗車定員 | 2名 | |
カラー | メタリックフラットスパークブラック×メタリックスパークブラック、キャンディライムグリーン×メタリックスパークブラック、メタリックフラットロウチタニウム×メタリックスパークブラック、パールフラットスターダストホワイト×メタリックスパークブラック |
※諸元は欧州仕様